首都高の裏側大公開/ジャンクションでPRイベント 首都高速道路 | 建設通信新聞Digital

10月16日 木曜日

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首都高の裏側大公開/ジャンクションでPRイベント 首都高速道路

コンクリートと緑が共存する施設。外壁の中には高速道路がぐるぐる走っている。
大柄な田仲隊長だが、周囲への配慮は細心そのもの。エンジンを入れてと頼まれ、スイッチをオン。ただ、アクセルは絶対に回さない。「近隣に住宅がある。……もうそろそろエンジン切っていい?」と苦笑い
 首都高速道路会社は10日、学生に仕事の魅力や技術力をPRする「首都高点検・補修デモ2025」を開いた。大橋ジャンクション(JCT)内の補修基地を開放し、パトカーや高所作業車、補修道具などを展示。首都圏の“大動脈”の裏側を公開した。
 イベントは16回目の開催。2025年度は、会社の前身となる道路公団の民営化から20周年の節目に当たり、一層の企業理解を促そうと、学生に加え、一般にも現場を公開した。
 補修基地を置く大橋JCTは、首都高速3号渋谷線と同中央環状線がつながる結節点。筒状の建物で、中央の吹き抜け部分には球技場がある。緩やかにカーブしたコンクリート製の壁に沿って高速道路が地中に向かってサークル状に走っている。建物の屋上には、人工の小川や水田など、緑豊かなスペースも広がる。
 屋上の維持管理を担当する伏屋和晃さんによると、目黒川沿いのこの地域はかつて、自然が豊かだったという。施設建設に当たっては、昭和初期の地域史をひもとき、原風景の再現に取り組んだ。「JCTは大きな構造物だ。地域環境に配慮し、生き物が行き来する空間づくりを目指した」と紹介。見学者は、高速道路の真上につくられた緑を散策。「音や排気臭がしそうなものだが、まったくない」と感嘆を漏らした。
 高速道路をさっそうと走るパトロールバイクにも注目が集まった。ピカピカに磨いた黄色の愛車を紹介したのは、首都高パトロールの田仲成光さん、バイク隊の隊長だ。施設地下を走る日本一長い「山手トンネル」での火災などに備えた専門組織。普段は基地で待機し、何かあれば緊急発進。機動力を生かしてトンネル入り口を即座に封鎖し、現場で初動対応の指揮を取る。「普段はなかなか見られない、貴重なバイクだ」と説明し、ブルルンとエンジンをかけた。
 イベントを運営する兼子大明さんは「新技術導入で効率化を進めている。高速道路の安全・安心への取り組みを一層理解してもらえれば」と話した。