住宅耐震化率を毎年更新/流域治水 合意形成へ支援を/国土強靱化推進会議 | 建設通信新聞Digital

12月25日 木曜日

行政

住宅耐震化率を毎年更新/流域治水 合意形成へ支援を/国土強靱化推進会議

 内閣官房は23日、国土強靱化推進会議を開き、今後の国土強靱化施策の強化に向け、流域治水や巨大地震への対応に関する施策間連携を議論した=写真。5年に1度行われる住宅土地統計調査に基づいて算出される住宅の耐震化率について、委員からはPDCA(計画・実行・評価・改善)をより循環させるため、固定資産課税台帳などを活用し毎年、耐震化率を更新する手法を作るよう提案された。流域治水に関しては、上下流域の住民・関係者の合意が必要となる場面が出てくることから円滑な合意形成への支援を求めた。 国土強靱化を担当する宇野善昌首相補佐官は「南海トラフ地震や首都直下地震など巨大地震の発生が懸念されているとともにインフラの老朽化も進行している。国民の生命と財産を守り抜くため国土強靱化の基本計画や実施中期計画に基づいて、今後とも取り組みを着実に進めていく」と述べた。
 各省庁は各取り組みの状況を報告した。流域治水に関し、各水系の流域治水協議会がまとめる流域治水プロジェクトは全国109の1級水系、約600の2級水系で策定・公表していることを報告した。河川改修やダム整備などの根本的な治水対策や既存施設の能力向上を加速するとともに、校庭を利用した流域貯留施設の整備など他機関との連携による対策に取り組んでいる。
 学校施設の耐災害性強化に向けては空調設備の整備やトイレの確保、バリアフリー化など避難所環境の改善・充実を図る。特に公立小中学校の体育館の空調整備率は5月時点で22.7%にとどまるため、さらなる整備推進が必要とした。
 住宅の耐震化では、熊本地震や能登半島地震において新耐震基準導入以降で現行規定が適用された2000年6月より前に建てられた住宅の倒壊・崩壊が一部で見られたため、新耐震基準導入以降に建設された木造住宅の耐震性能検証の普及に努めている。
 委員からは流域治水について、治山事業を含めた治水事業の推進、自治体や民間事業などが協力した取り組みを評価する制度などが提案された。流域の規模で事業の進め方を変えるよう求める声もあった。
 ある委員は、民間建築物の耐震性について、建築基準法上の基準は地震発災時の耐震性は担保するものの、その後も使い続けることは必ずしも保証していない点を指摘。災害関連死につながることから、その点を国民に周知した上で、より安全な建築物を依頼できる環境を整えるよう要望した。
 12月の次回会合では、民間事業者の取り組みや企業の強靱化について意見交換するとともに、26年度の国土強靱化年次計画の策定方針案を審議する。