三井不レジの渋谷区幡ヶ谷2丁目開発事業/15階建て約430戸の共住 | 建設通信新聞Digital

10月29日 水曜日

関東・甲信越

三井不レジの渋谷区幡ヶ谷2丁目開発事業/15階建て約430戸の共住

事業構想図(10月時点)
移設が検討される七号通り公園
【公園移設など住民と合意形成課題】
 三井不動産レジデンシャルが、東京都渋谷区の旧オリンパス本社跡地約1haで、15階建て高さ45m、約430戸の分譲マンション建設を検討していることが分かった。また、計画地北側の水道道路に面した区立七号通り公園を西側に移設し、空いた空間に車両出入り口などを設ける。同公園の移設や、出入り口設置による交通上の懸念を巡り、地元住民との合意形成が課題になっている。 同社が計画を進めているのは、幡ヶ谷2-44-4にある敷地1万0395㎡。用途は準工業地域で、建ぺい率60%、容積率300%。オリンパスが2022年に土地を売却し、三井不動産レジデンシャル8割、日鉄興和不動産2割の持ち分で所有している。三井不動産レジデンシャルは、区のまちづくりに貢献する形で、24年度からマンション新築計画を検討していた。
 地元町会の住民によると、今年6月下旬に区から計画概要の説明があったという。マンションに加え、敷地内には駐車場(約110台)や地下駐輪場などを整備する。現在七号通り公園がある場所には広場状空地や車両などの出入り口を設け、敷地西・南側の道路は6mに拡幅する計画だ。
 ある住民は七号通り公園について「地元のお祭りや防災訓練、ラジオ体操で利用してきた」とし、憩いの場の移設に反対している。区や事業者は、新設する広場状空地で従来どおりの活動が可能としているものの「80年以上前から残るザクロや柿の木などの自然を残してほしい」と、地元の意見に耳を傾けるよう願う。
 また、計画地を管轄する代々木警察署は交通上の懸念もあらわにしている。計画地北側を通る水道道路(都道431号)は、東の山手通り、西の環状七号線をつなぐ地元の動脈だが片側一車線。計画される出入り口付近には信号がないため、車両の出入りによる渋滞や事故のリスクが高まる。
 区は七号通り公園を移設し、計画地西側にある幡ヶ谷ひだまり公園と一体活用する方針だが、両公園の間にある道路が拡幅されることで、路上駐車や事故の懸念も高まる。
 そのため地元住民は、七号通り公園を現状の位置にとどめた上で、出入り口を敷地西側に設置することで信号がある幡ヶ谷三丁目交差点を利用した円滑な交通が実現することを希望している。
 これらの地元住民の要望に対し、今月時点で計画の変更は確認されていない。区の第3回定例会本会議で長谷部健区長は「引き続き地域との対話の場を設け、事業者に対しては地元町会などへの説明会実施を要望する」と答弁している。地域から愛されてきた区有地も絡む開発計画なだけに、地元住民との丁寧な合意形成が求められる。