賃金・労働時間の実態調査試行/直轄土木対象に受注者希望型/国交省 | 建設通信新聞Digital

12月25日 木曜日

行政

賃金・労働時間の実態調査試行/直轄土木対象に受注者希望型/国交省

「賃金・労働時間等の実態調査」の結果の算定方法 *1 Σの箇所は、当該工種に含まれる職種ごとに算出して合算する *2 公共工事設計労務単価には、臨時の給与の日額換算や実物給与が含まれるため、これらの確認が必要になる
 国土交通省は建設従事者への適切な賃金の支払いに向けて、同省の直轄土木工事を対象に受注者希望型による賃金・労働時間などの実態調査を試行的に始める。受注者から提出された日報や契約書、賃金情報を基に、発注者が調査対象工種の実施率や労務費達成率、賃金達成率を確かめる。試行は調査方法や調査結果の算定方法を検証することが目的のため、調査結果に対するインセンティブ(優遇措置)やペナルティーは設けない。試行の成果を踏まえ改善を重ね、将来的には調査結果を適切な業者選定に反映させることを目指す。 改正公共工事品質確保促進法では、国は適切な請負代金・賃金が支払われるよう実態調査に努めなければならない旨を規定。発注関係事務に関する運用指針でも受発注者の協力の下、下請け業者への支払いや適切な労働時間の確保に向けて実態把握に努める方針が示されている。
 これらを踏まえ、施工中の案件を含め11月以降に公告した直轄土木工事を対象に、受注者の希望に基づき調査を実施する。11月中旬に契約工事の受注者に対し調査協力を依頼する。調査で検証する点として、▽調査を円滑に行うための実労働時間を調査する仕組みの構築▽調査結果の算定方法▽受発注者双方の労務費確保を目的とした積算上の作業時間の提示--の3点を挙げている。
 調査の流れとしては、受注者が日付や工種、名前、職種、作業時間などを明記した日報のほかに、契約書、賃金情報を提出し、発注者がデータを整理して調査対象工種の実施率や達成率を算出する。
 調査対象工種の実施率は、「調査対象工種等の積算上の作業時間」に「工事全体の直接工事費に対する積算上の作業時間」を除して算出する。労務費達成率は、「払った労務費(契約上の労務費)」に「払うべき労務費」を除して試算する。払うべき労務費は設計労務単価に実労働時間を乗じて求める。賃金達成率は、技術労働者の平均賃金に設計労務単価の加重平均を除して導き出す。
 発注者は調査結果をまとめた後、受注者に対し、参考として実施率や達成率、調査対象工種の積算上の作業時間を提示し、受発注者間の見える化を図る。
 国交省は、2025年度末に調査の実施状況を取りまとめる予定だ。