関電工が施工・東電管内第1号案件/小山市の系統用蓄電所完成/需要増見据え実績積み重ね | 建設通信新聞Digital

11月11日 火曜日

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関電工が施工・東電管内第1号案件/小山市の系統用蓄電所完成/需要増見据え実績積み重ね

小山蓄電所の全景
山本工務施工チームリーダー
 関電工が元請けで受注し、栃木県小山市で工事を進めていた小山蓄電所が完成した。2022年の改正電気事業法で認められた系統用蓄電池の施設で、東京電力管内では第1号案件となる。関電工としても初めての施工だったため、関係機関との協議を手探りで進めなければならない中、系統用以外の蓄電池設置ノウハウを生かして無事に竣工した。50年カーボンニュートラル(CN)を見据えた再生可能エネルギーの導入拡大に向け、系統用蓄電池の需要が高まっていくとみられることから、施工実績を今後伸ばしていく方針だ。 再生可能エネルギーのうち太陽光発電や風力発電などは、天候に左右され、発電量が不安定という弱点がある。その弱点を補い、調整力を備えられるのが系統用蓄電池だ。電力需給に応じて蓄電・放電することで、電力需給バランスを改善したり、再エネ導入可能量を増やしたりすることができると期待されている。
 小山蓄電所では、電力系統から送られた余剰電力を交流から直流に変換した上で、蓄電池に蓄え、電力が不足したときに放電する。
 auリニューアブルエナジー(東京都千代田区)から24年5月に受注し、KDDI小山ネットワークセンターの敷地内に出力1999kW、容量5608kW時の蓄電池を設置した。同年11月から工事に入り、25年7月に完成。同年8月から運転している。
 施工に当たっては、蓄電池を収納するコンテナが建築基準法の対象外であることを確認したり、防火の観点から必要なコンテナ間距離を確かめたりするなど、市や市消防本部をはじめとする関係機関との協議に心血を注いだ。このプロジェクトを取り仕切った関電工の山本樹彦北関東・北信越営業本部栃木支店社会インフラ工事部工務施工チームリーダーは、「(法改正に伴う)初めての試みで、市や消防もなかなか判断できない部分があった。協議が一番大変だった」と振り返る。
 系統用蓄電池の施工は初めてだが、系統用以外では製造業の顧客から工場での蓄電池設置を請け負ったことがある。そうしたノウハウを生かして施工方法も工夫し、必要数のコンテナを全て設置した後に電池盤を一斉に納める方法を採ることで、施工効率を高めた。山本工務施工チームリーダーは「CNにつながる、とてもやりがいのある仕事ができた」と達成感を口にする。