阪神高速技術とテクノ阪神は、トンネル内に設置されている水噴霧設備の流量測定装置を開発し、2025年度から現場での点検に導入している。通行止めや装置の組み立て・解体も不要となった装置をデジタル技術により、複数の装置を一括で管理する技術を組み合わせ、点検業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)につながっている。 水噴霧設備は、トンネル内での火災時に使用する消火設備だ。これまで、点検時は通行止めを実施し、道路上へ放水していたり、従来装置を活用したりしていた。従来装置は、点検ごとに機材を組み立て、解体していた。点検結果は手書きで記録していたため、準備に手間やコストがかかっていた。点検時も無線でコミュニケーションを取っており、作業も標準化されていなかったため、ミスが起こりやすい環境だった。
現場で点検を実施するテクノ阪神の南敏浩大和田事業所管理第三課課長によると、「作業を標準化したかった」という思いが開発の動機にある。「工数が増えるとミスが増える」ため、担当者ごとにトラックの運転、放水、排水など、作業を細分化、単純化し、システムで一元管理することで、コミュニケーションミスも削減できる。「担い手の減少も進んでおり、できる限り作業を簡単にしたかった」とも。また、淀川左岸線2期のトンネルが完成すると、「従来の方法では点検が追いつかなくなってしまう」という危機感もあった。
阪神高速技術で装置の開発を担当した花坂謙一設備事業部港晴事業所主任は「決められた点検周期を守りながら正確に点検したかった。現場作業を担当するテクノ阪神の要望を開発に生かした」と振り返る。
水噴霧流量測定装置は、貯水槽と気泡分離装置などの点検に必要な機材を一体化したものだ。貯水槽内には異物を採取するダストボックスも設けている。組み立てと解体は不要で、トラックに積み込み運搬すればそのまま現場で点検が可能となる。道路への放水の必要がなくなるため、通行止めも不要で、片側1車線の通行規制を実施するだけだ。装置を現場で水噴霧設備のヘッドと接続する際、「レーザーガイドと放水用ホースと貯水槽の接続部の位置は、阪神高速のヘッド間隔である5mに合わせて設計している」(南課長)ことから、レーザーガイドの位置に停車すれば、自動的に正確な位置で点検できる。
管理システムは、測定装置と連携しており、5台分の流量や貯水量などの情報をタブレット端末で確認できる。「流量が規定範囲内に収まっていれば緑色で表示される」ため、正確な点検につながる。
点検は、50mを1区画とし、1区画内に10カ所の水噴霧設備のヘッドがある。測定装置はトラック1台当たり2ヘッド分を点検できる。新長田トンネルでは、長さ1㎞、18区画が対象となる。各ヘッドから貯水槽へ放水する際に放水量を計測しながら、貯水槽の水を排水する。1区画の放水は40秒で完了する。
点検後、貯水槽に設けられたダストボックスには異物が混入する場合もある。異物の材質を分析すれば、劣化している設備が分かるため、事後保全にも貢献する。南課長は「これまで測定後は排水だけ行っていたが異物に気付いた。異物はヘッドが詰まる要因となってしまう。普段、現場で作業しているからこそ気付いた点を装置に組み込んだ」と力を込める。
測定装置は、9月に新神戸トンネルで初めて導入した。まだ定量的な効果は分析できていないが、南課長は「効率化は実感している。従来手法より1.2倍は作業スピードが早まったと感じている」と話す。花坂主任は「作業の標準化により、熟練度も求められない。開発したかいがあった」と別のメリットも語る。
今後の展開について花坂主任は「点検は今後も減ることはなく、欠かせない。劣化度を適切に把握し、補修などを阪神高速道路会社に提案したい」と先を見据える。
現場で点検を実施するテクノ阪神の南敏浩大和田事業所管理第三課課長によると、「作業を標準化したかった」という思いが開発の動機にある。「工数が増えるとミスが増える」ため、担当者ごとにトラックの運転、放水、排水など、作業を細分化、単純化し、システムで一元管理することで、コミュニケーションミスも削減できる。「担い手の減少も進んでおり、できる限り作業を簡単にしたかった」とも。また、淀川左岸線2期のトンネルが完成すると、「従来の方法では点検が追いつかなくなってしまう」という危機感もあった。
阪神高速技術で装置の開発を担当した花坂謙一設備事業部港晴事業所主任は「決められた点検周期を守りながら正確に点検したかった。現場作業を担当するテクノ阪神の要望を開発に生かした」と振り返る。
水噴霧流量測定装置は、貯水槽と気泡分離装置などの点検に必要な機材を一体化したものだ。貯水槽内には異物を採取するダストボックスも設けている。組み立てと解体は不要で、トラックに積み込み運搬すればそのまま現場で点検が可能となる。道路への放水の必要がなくなるため、通行止めも不要で、片側1車線の通行規制を実施するだけだ。装置を現場で水噴霧設備のヘッドと接続する際、「レーザーガイドと放水用ホースと貯水槽の接続部の位置は、阪神高速のヘッド間隔である5mに合わせて設計している」(南課長)ことから、レーザーガイドの位置に停車すれば、自動的に正確な位置で点検できる。
管理システムは、測定装置と連携しており、5台分の流量や貯水量などの情報をタブレット端末で確認できる。「流量が規定範囲内に収まっていれば緑色で表示される」ため、正確な点検につながる。
点検は、50mを1区画とし、1区画内に10カ所の水噴霧設備のヘッドがある。測定装置はトラック1台当たり2ヘッド分を点検できる。新長田トンネルでは、長さ1㎞、18区画が対象となる。各ヘッドから貯水槽へ放水する際に放水量を計測しながら、貯水槽の水を排水する。1区画の放水は40秒で完了する。
点検後、貯水槽に設けられたダストボックスには異物が混入する場合もある。異物の材質を分析すれば、劣化している設備が分かるため、事後保全にも貢献する。南課長は「これまで測定後は排水だけ行っていたが異物に気付いた。異物はヘッドが詰まる要因となってしまう。普段、現場で作業しているからこそ気付いた点を装置に組み込んだ」と力を込める。
測定装置は、9月に新神戸トンネルで初めて導入した。まだ定量的な効果は分析できていないが、南課長は「効率化は実感している。従来手法より1.2倍は作業スピードが早まったと感じている」と話す。花坂主任は「作業の標準化により、熟練度も求められない。開発したかいがあった」と別のメリットも語る。
今後の展開について花坂主任は「点検は今後も減ることはなく、欠かせない。劣化度を適切に把握し、補修などを阪神高速道路会社に提案したい」と先を見据える。











