本四高速の長大橋点検システム/現実世界・仮想空間 重ね合わせて変状確認/無電波地帯は2次元コード読み込み | 建設通信新聞Digital

2月12日 木曜日

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本四高速の長大橋点検システム/現実世界・仮想空間 重ね合わせて変状確認/無電波地帯は2次元コード読み込み

点検風景
画面イメージ
 本州四国高速道路会社は、MR(複合現実)技術を活用した長大橋点検システム「BIX-eye(ビックス・アイ)」を開発した。4月から西瀬戸自動車道の大島大橋での本格導入を目指しており、現在は3次元モデルの最終調整を進めている。導入により点検業務の効率化・高度化を図るとともに、点検データを蓄積し、今後の維持管理業務にも生かしたい考えだ。 同システムは、タブレット端末にBIM/CIMモデルを投影し、実物と3次元モデルを照らし合わせることで、変状を確認できる。画像内の部材を選択すると、変状の詳細な位置情報が記録され、その場で変状の概要や過去の点検記録の確認のほか、情報更新や調書作成も可能だ。部材情報については、構造種別や変状種別、補修済みか否かなどがあらかじめ登録されている。
 位置情報は、GNSS(衛星測位システム)で取得する。SLAM(自己位置推定)技術により点検員が移動しても正確な位置を保持することが可能だ。電波が入らない箇所については、2次元コードを設置し、読み込むことで位置情報を取得する。大島大橋では、箱桁内の計400カ所に2次元コードを設置している。
 開発には、グループ会社の本四高速道路ブリッジエンジのほか、本四高速が主催する「自動点検・補修技術開発コンソーシアム」の参加企業であるIHIインフラシステム、インフォマティクス、ミラリスタが参画。BIM/CIMモデルはIHIインフラシステムが構築し、インフォマティクスがGNSS、SLAMのほか、現実とデジタル世界を複合する「GyroEye(ジャイロ・アイ)」、高精度位置情報を取得するRTK(リアルタイムキネマティック)を開発した。ミラリスタはサイバー空間と現実空間を重ね合わせる重畳機能の開発を担当している。
 河野晴彦橋梁技術部技術推進課技術開発戦略担当課長は「通常のBIM/CIMモデルは容量が膨大で、オブジェクトの分類も建設工事に適用したものとなっている。そのまま転用することは難しいため、軽量化した専用の3Dモデルを構築し、部材ごとに維持管理に適したオブジェクトに分類し直すとともに、変状履歴をひも付けるための属性情報を付与する必要があった」と振り返る。
 溝上善昭橋梁技術部技術推進課長は「中期経営計画に基づき、長大橋の維持管理情報を連携・活用するためのプラットフォーム構築を進めている。将来的には、ビックス・アイで収集した点検データを劣化予測や補修計画の立案などにも生かしていきたい」と話す。
 今後は明石海峡大橋への導入も見据えており、25年度から3Dモデル作成の検討に着手した。河野課長は「明石海峡大橋はトラス構造のため、部材が多く、オブジェクトをどう分類するかなどのルール整備が課題。また、トラス内部は電波が入りにくいため、位置情報をどう維持するかも検討する必要がある。導入までの難易度は高いが、実現できれば多くの長大橋への展開が可能となるため、26年度も引き続き取り組んでいきたい」と意気込みを語った。