国土交通省と内閣官房は、地下水の適正な保全・利用に向けた全国統一的な措置を検討する。半導体工場などの立地による水需要の増加や災害時の代替水源の確保、気候変動による渇水リスク増大の観点から地下水の重要性が高まっていることを踏まえ、有識者による検討会で地下水採取の実態把握を含めて議論する。夏ごろに取りまとめを行い、一定の方向性を示す。
地下水の需要について、国が立地を推進する半導体工場やデータセンターは部品の洗浄装置や熱暴走防止のための冷却装置を設ける必要があるため、今後増加が見込まれる。外国人による森林取得の増加を受けて、国民の水源地保全に対する関心も高まっている。
地下水採取の規制に関しては、26都府県と236市区町村が関係条例を制定。条例により714市区町村が規制対象となっている。ただ、全国一律で規制する法律がないため、条例を制定していない自治体は実態を把握できていないのが現状だ。
そのため、1月に関係閣僚会議がまとめた「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」では、国籍情報を含む全国統一的な考え方による地下水採取の実態把握や、適正な保全と利用の仕組みを検討する方針を示していた。9日に有識者検討会の初会合を開いた。冒頭、座長を務める辻村真貴筑波大生命環境系教授は、「地下水の問題にはさまざまな境界線がある。自治体間の境界のほか、地質や地形など自然条件も地域差という形で関わってくる」と指摘。「委員らのさまざまな知見に基づき、そういった境界をまたぐように全国で統一した考え方を整理しなければならない」と述べた=写真。
議事では、地下水の需要面や供給面、採取による障害の観点から現状の課題を確認したほか、地下水採取の実態把握や規制についても問題を整理した。次回会合は4月下旬に開催する予定だ。
