「真に必要とされ、選ばれる会社にならなければいけない」。4月1日付で日特建設の社長に就任する上直人取締役兼専務執行役員は目指す企業像をこう描く。目標の実現に向け、2026年度からスタートする次期中期経営計画や技術開発、人材育成の方針を聞いた。
【技術磨き選ばれる会社に】
--抱負は
「社是の『私たちは、見えないところにこそ、誠実に技術を提供して、社会から必要とされる企業であり続ける』と、ブランドメッセージである『見えないところにこそ、私たちのプライドがある。』の浸透をこの数年間で図ってきた。これらを胸に、全従業員が一丸となって安全・安心な国土づくりに貢献する会社を目指す」
--次期中期経営計画について
「安定した業績を積み上げられる組織体制を確立し、売上高1000億円、従業員の平均年収1000万円、時価総額1000億円の『三つの1000』の実現につながるものとしたい。受注環境は良好な状況が続くとみており、DX(デジタルトランスフォーメーション)やICT施工で生産性を向上させていく」
「子会社化した麻生フオームクリートは業界一の気泡コンクリートの実績と当社の営業網とのシナジーによって既に業績貢献を果たしている。今後もM&A(企業の合併・買収)は補修補強や都市土木などの分野を対象に検討していきたい」
--主力事業の方針は
「のり面工事、地盤改良工事、補修補強工事の3本柱の強化で成長していく。のり面工事は能登半島地震の復興工事など旺盛な需要に対応するため、開発した省力化・無人化・遠隔化が可能なショットセイバー・スロープセイバーを積極的に活用する。地盤改良工事は機械設備の投資に続いて機材センターを拡充していく」
「補修補強工事は従来の橋梁などに加えて、高規格道路や高速鉄道、ダム、下水道を含めた地下構造物に対象範囲を広げたい。当社が事務局を務める斜面インフラマネジメント協会も産学官の協力の下で活動しており、今後主流になる老朽インフラの補修にさらに注力していく」
--技術開発や現場導入の方向性は
「技術開発本部と事業本部を統合して、開発スピードを速くし、現場への展開や問題点の改善を的確に進める。のり面、地盤改良、材料環境と従来、分野別になっていた体制を一体として横串を刺す組織にする。また外部パートナーと連携し、スタートアップ(新興企業)が持っている技術を活用する試みも始めた。現在の主力3本柱の深化に加えて、オープンイノベーションにより第4の柱となる新規事業を探索している」
--社員の育成・教育は
「将来の経営者・幹部候補の育成に向けて、今年から大学で1年間の事業構想プロジェクト研究に参加させる。『企業内大学(仮称)』と銘打った、階層・職種別の教育制度も新設する。企業理念や会社の歴史などを理解し、スキルアップできるようにしたい。全社員が常に学習して成長できる会社を目指す」
* *
(かみ・なおと)1987年3月芝浦工大工学部土木工学科卒後、同年4月日特建設入社。2021年4月常務執行役員事業本部長、同年6月取締役兼常務執行役員事業本部長、25年4月取締役兼専務執行役員安全環境品質本部長。趣味は歴史小説の読書とゴルフ。埼玉県出身。63年5月13日生まれ、62歳。
【記者の目】
阪神・淡路大震災関連の堤防復旧工事などの困難な現場に携わってきた。「与えられた仕事はどんなことがあってもやり抜くという強い心と常に明るくしていないと良いことは迎えられない」が信条と語り、常に前向きな姿勢で日特建設1200人の力を結集する。
