【領域拡大 次のステージへ】
JR東日本からスピンオフしたスタートアップ(新興企業)「CalTa」の新社長に古林秀之氏が就任して4カ月余りが経過した。同社はスマートフォンなどで動画データをアップロードするだけで、3D・点群データを生成できる『TRANCITY』など、デジタル技術により現場管理の効率化・省力化に貢献する。古林社長は「対象領域を広げ利用事業者の拡大を目指す」と力を込める。注力事業や課題について聞いた。
--抱負を
「当社は鉄道事業を起点としたデジタルツイン事業、現地映像取得事業、受託開発事業という三つの事業の柱で展開してきたが、対象領域を道路、港湾、電力、上下水道、プラント分野などに領域を広げている。そういう意味では次の成長のステージに入った」
「私は第2ステージのブースターを作動させ、会社の成長を成し遂げるために来た。JR東日本での経験も生かしながらチームCalTaの力を最大化し、顧客のニーズに寄り添い先取りできるよう努める」
--注力事業について
「鉄道点検にドローンを活用した取り組みを進めている。国土交通省の採択事業では鉄道施設維持管理の効率化、省力化に向けた技術開発と実証を実施している」
「具体的には、鉄道現場の定期点検や災害時などの緊急点検ができる自動巡回ドローンと、ドローンが収集した情報を閲覧・分析するデジタルツインプラットフォームを開発し、鉄道インフラ点検での安全性・生産性向上を実現する取り組みだ。人口減少が進み、運行頻度の少ない地方路線では、大きな効果が期待できる」
「JR東日本と共同で開発中の異常時点検ドローンにより、輸送障害発生時の設備点検が迅速化する。1月に山手線新橋駅付近で飛行試験を実施し安定した飛行や夜間でも鮮明な映像が取得できることを確認した」
--課題について
「スピード感のある事業展開と、組織規模を拡大していく中での社内運営の両者のバランスを取ることが必要だ」
「インフラの維持管理を行う主体は、鉄道、電力会社、自治体など幅広い。多くの事業者に活用してもらえるようなサービスにしていく」
--展望について
「3月にリリースした『TRANCITYNebula』には生成AI(人工知能)機能を搭載した。AIを当たり前に使う時代になってきたので、当社製品も本当に使えるAIにしていく必要があり、今後、機能をさらに発展させる」
「将来的にはコンクリートのひび割れ箇所を広く検索したり、先回りしてひび割れを予測して表示したりするなどしていく。デジタル空間とリアル双方向のやり取りの中で、インフラの建設・点検・維持管理のサイクルを回すソフトウエアへと進化させる」
「デジタルツインにはいろいろな可能性があり、今後の提供サービスはさまざまな分野が考えられる。その一つが人材育成や教育ツールだ。人が伝承してきたノウハウをデジタルツインが補える。例えば、対象沿線を画像で撮影し、周辺設備を再現して設備の機能や異常時の取り扱いを伝えることができる」
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(こばやし・ひでゆき)2000年3月京大大学院工学研究科修了後、同年4月JR東日本入社。日本コンサルタンツ副部長、JR東日本東北工事事務所総務課長などを歴任。島根県出身。1975年7月22日生まれ、50歳。
【記者の目】
「縁結び」を好きな言葉に挙げた。古林社長自身、JR東日本の技術部門、組織マネジメント、経営企画を経て、現職と縁に導かれるようにキャリアを重ねてきた。「CalTaも、自社と他社の技術を結び、組み合わせることでインフラ管理の効率化を実現していきたい」という。対象フィールドを広げ、導入先も130者以上と着実に自社サービスと顧客ニーズとの縁を結んでいる。
