【今後の展望は?/総合力でODA中心から脱却】
清水建設の執行役員グローバル事業本部土木国際支店長に、4月1日付で坂本雅信氏が就いた。支店運営のテーマに掲げるのが「海外土木における収益構造の変革」だ。「ODA(政府開発援助)だけに偏っているのは不健全。技術力と総合力を生かし、付加価値の高い案件へとシフトしていく」と強調する。受注目標の達成に向け、『行動なき思慮は臆病に至る』をモットーに積極的な攻めの姿勢を見せる。今後の展望を聞いた。
--就任の抱負を
「当支店はこれまで請け負いに特化し、ODA中心で取り組んできた。この体制から脱却し、収益構造を変えていきたい。現在は売上高の約9割がODA案件だが、今後は高いガバナンス基準が求められる台湾やシンガポール、あるいはアジア開発銀行(ADB)案件など、技術的難易度が高く付加価値のある領域に資源を配分していく。また、今年から新規事業担当の副支店長を置き、施工以外の案件形成や投資サイドへの関与など、新しい領域にも本格的に乗り出す」
--市況環境をどう見る
「世界的にインフラ需要は旺盛で、仕事の機会は日本国内よりも圧倒的に多い。一方で、中国企業との単純な価格競争は避けるべきだと考えている。彼らとの差別化を図るためにも、われわれの強みである技術力を発揮できる、より高度な品質を求める顧客やプロジェクトを探していく」
--成長戦略の具体策は
「インドネシアやフィリピンなどの既存市場を継続しつつ、シンガポール、台湾への進出を加速する。特に台湾では、半導体工場に欠かせないインフラ関連の土木工事といった工期が比較的短いプロジェクトにも注力したい。グループ全体の業績に貢献していくほか、成長速度を上げるための手段として海外でのM&A(企業の合併・買収)も積極的に検討していく」
--支店の運営方針は
「過去3年間は目標に届いていない。まずは採算性を重視し、数字にこだわりたい。そのためには、『この国はこうあるべきだ』といった固定観念を捨て、新しい目で世界の市場を見直さなければならないと職員には伝えている。また、一度進出した国には腰を据えて取り組み、ローカルスタッフとの信頼関係を築くことが持続的成長の鍵となると考えている」
--自身のキャリアをどう生かすか
「私は国内勤務が6年、その後24年間を海外で過ごしてきた。長年、ジャカルタの地下鉄プロジェクトなどに携わってきたが、海外では契約順守の意識が非常に高いのが特徴だった。海外で培った契約管理やリスク管理の知見を全社に還元していきたい。国際支店が国内主要支店である土木東京支店に匹敵する受注を達成すれば、全社の土木部門が刺激され、さらなる成長をけん引できる」
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(さかもと・まさのぶ)1994年3月京大大学院工学研究科土木工学科修了後、同年4月清水建設入社。2017年4月国際支店ジャカルタ地下鉄建設所長、24年4月土木総本部土木企画室副室長、25年4月グローバル事業本部土木国際支店副支店長などを経て、26年4月から現職。趣味は登山。「日本百名山」制覇を目指しており、「まずは難しい山から挑戦したい」と笑顔を見せる。京都府出身。68年5月13日生まれ、58歳。
