【顧客の課題解決に軸足】
1日付で就任した日立プラントサービスの武藤修社長は、「当社の財産は人だけだ」と言い切り、人材育成や、会社組織全体の業務効率化に向けたAI(人工知能)活用に力を入れる姿勢を示す。「会社を成長させて、新たな投資や人的投資を一層進め、それによってさらに成長するという好循環を実現させていきたい」と意気込む武藤社長に、今後の経営戦略を聞いた。
--就任の抱負を
「現在の世界情勢は読みにくく、社会課題も顕在化してきている。また、AIなどテクノロジーの進化はものすごいスピードで進んでいる。そうした中にあっても、当社には社会インフラを支えるという使命がある。社会インフラに対する責任を全うし、社会に貢献しながら持続的に成長させていく。これを大前提として、三つの取り組みを進める。一つ目は日立グループのAI活用、二つ目は安全・品質確保の強化、三つ目は人材育成だ」
「AIに関しては、昨年から全従業員に生成AIを提供しており、個人レベルでの業務効率化が進んできた。それを全体的にまとめて、さらなる効率化を図るのが本年度と考えている。“AI難民”をつくらないように、ある程度のレベルまで全従業員がAIを使いこなせるようにしていく。安全と品質にはゴールはなく、進化し続けなければいけない。人材については、育成と定着が最も大事と考えていて、育成は主体性を持って自らの意思で行動する人材を育てたい。皆が挑戦できる組織・風土も醸成していく」
--課題と、その解決に向けた取り組みは
「足元の課題は人手不足への対応だ。業務の効率化に向けて新しい技術を積極的に使っていく。同時に、未熟練者が早く技術を習得できるよう教育の仕組みづくりを急ぐ」
--事業展開方針と注力分野は
「大型案件が多くなっているが、規模にはこだわらず、お客さまの困り事を解決することに軸足を置き、事業を展開していく。困り事を解決する取り組みはAIやデジタルとの親和性が高く、お客さま側のデータを基にした改善の提案に結び付けやすいと考えている。注力分野には数年前から、医薬・バイオ、半導体、電池を含めた高機能材料を位置付けている。この3分野に引き続き力を入れる」
--日立グループ内の立ち位置は
「製造業のお客さまに最も近いところで仕事をしており、タッチポイントになっていると認識している。把握した製造過程での課題などをグループにフィードバックし、日立製作所のプロダクツ展開などにつなげていく」
--協力会社への対応は
「協力会社からは、採用に苦労しているという声や、後継者不足で会社を畳むという話が聞こえてきているため、注視しているところだ。これまで以上に協力会社との情報交換を積極的に行い、相談にも個別対応しながら、当社として何ができるのかを考えていきたい」
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(むとう・おさむ)1991年3月東北学院大工学部機械工学科卒後、同年4月日立プラント建設(現日立製作所)入社。2021年4月日立プラントサービス産業設備事業部長、22年4月取締役産業設備事業部長、24年4月常務産業設備事業部長を経て、26年4月から現職。宮城県出身。68年12月3日生まれ、57歳。
◆記者の目
天台宗の開祖・最澄が残した『一隅を照らす、これすなわち国宝なり』を座右の銘とする。置かれた場所で全力を出して光る人が大事という意味だ。技術畑出身で、さまざまな工種の企業などと共に現場を完成させた経験から、「1人では何もできない。それぞれのポジションには役割があり、全員がパフォーマンスを十分に発揮すれば、結果は付いてくる」とも。「そういう会社でいなくてはいけない」とし、社長として会社の全体最適を図りながら従業員一人ひとりの働きに光を当てていく。
