【「補正+当初」超が最低ライン/実質事業量確保へ官民で機運醸成】
日本建設業連合会と国土交通省各地方整備局などの共催による「2026年度公共工事の諸課題に関する意見交換会」が幕を閉じた。資材価格の高騰や労務費の上昇などを背景とする実質事業量・発注件数の減少は、目に見える形で深刻化している。このような中、高市政権は補正依存からの脱却による当初重視の予算編成方針などを掲げ、業界からの期待も高まっている。一方、適用から2年が経過した時間外労働上限規制への対応はまだ道半ばの状況にあり、過酷さが増す猛暑対策も待ったなし。昨年12月に全面施行された第3次担い手3法も、現場レベルでは今年が運用元年と言える。成長フェーズにあるべき予算の姿、選ばれる産業となるための働き方、不可避な労働力減少への対応。業界は今、かつてないほどに大きな転換期を迎えている。5月中旬から約1カ月の間に、全国9地区で繰り広げられた議論を振り返る。
切迫する大規模地震や激甚化・頻発化する自然災害を踏まえ、日建連の蓮輪賢治副会長・土木本部長は「インフラ老朽化対策を含む災害に強い国土づくりの重要性と緊急性が高まっている」と訴えるとともに、強い経済を支える幹線道路ネットワークなど基幹インフラ整備の必要性を説いて回った。安全・安心の確保や経済成長のために実施すべき事業はまだまだたくさんあるにもかかわらず、予算規模が長らく横ばいで推移する中、物価高による1件当たりの工事費上昇によって、できない事業が増えている。
議題のトップバッターは、公共事業予算の規模拡大だった。日建連の齊藤武文公共生産委員長は「政府当初予算は横ばいが続く一方、24年度の建設工事費デフレーターは15年度比で29%ほど上昇しており、実質的な事業量が減少している。また、国交省直轄のWTO工事は、24年度に22年度比で契約件数が約39%、当初契約金額が約28%減少している」と現状を説明し、計画的な社会資本整備のための当初予算増額などを呼び掛けた。
地方整備局側も、公共事業予算が実質目減りしているという課題を共有。防災・減災、国土強靱化は、政府が推進する危機管理投資・成長投資の重要施策でもあるとの認識の下、価格高騰の影響を踏まえて予算規模拡大に努めるなどと応じるとともに、攻防の地である霞が関や永田町に業界の声を積極的に届けてほしいと後押しを要請した。
意見交換会と並行する形で日建連は、政府が例年6月中に策定する経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる「骨太の方針」への趣旨反映を目指す要望活動も展開した。押味至一会長や蓮輪副会長らが、内閣官房長官、経済財政政策担当相、国土交通相、自民党三役など政府・与党の要職を相次いで訪問し、25年度補正予算と26年度当初予算の合計額を上回る予算規模による実質事業量の確保などを求めた。提出した要望書に金額は明示していないものの、合計額は約8兆7000億円で、物価上昇分も加味すれば、9兆円程度が当面目指す姿になるとみられる。
意見交換会に合わせて開かれる日建連各支部総会の後の懇親会。いくつかの会場に駆け付けた見坂茂範参院議員は「建設業は受注産業であり、仕事を受注しないことには経営が成り立たない。まずは仕事の量を確保する。それが職域代表としての私の仕事だと思っている。公共工事が多い地域は、おのずと民間投資も刺激されるため、しっかりと公共事業費を確保していきたい。国の当初予算はこの間、約6兆円のうち、毎年20億円しか増えてこなかったが、26年度はプラス220億円になった。しかし、それでは全然足りない。1000億円、2000億円くらい毎年増やしていかなければならないと思っている」と力説した。
