国土交通省が改正建設業法の全面施行前に行った調査によると、直近の現場で労務費を内訳明示した見積書を提出した下請け企業のうち、見積額の全額以上を受け取った事業者は公共工事で約8割、民間工事で約7割に上った。改正法施行により労務費を内訳明示した見積書を作成・尊重する努力義務規定が発効。新たな取引ルールを使いこなし、適正な労務費を確保する姿勢が求められる。
社会保険加入や賃金支払いに関する2025年度調査で確認した。無作為抽出した建設業許可業者3万5000者のうち、6051者から有効回答を得た。調査時期は25年10、11月のため、改正法全面施行前となる。
直近1現場で労務費を内訳明示した見積書を提出した下請けは、公共工事で約6割、民間工事で約5割だった。下請け次数別に見ると、回答数の大小があるものの、公共は次数が大きいほど内訳明示している傾向にあった。民間で内訳明示した事業者の割合は、いずれの階層も公共より低かった。
労務費を内訳明示した事業者に実際の受け取り状況を聞くと、「見積額の全額以上を受け取った」と答えた事業者は公共で8割程度、民間で7割程度に上った。下請け次数別では1次の割合が比較的高く、公共は78.9%、民間は72.1%となった。公共の2次は72.3%、3次以降は75.0%、民間の2次は67.0%、3次以降は72.3%だった。
見積書に材料費を内訳明示しているかも調べた。材料費を「種類ごとに記載、計上した」と回答した1次下請けは公共が48.4%、民間が57.5%。公共、民間とも次数が大きくなるほど「記載、計上していない」割合が高くなり、3次以降では公共、民間ともに約5割を占めた。
材料費を内訳明示した事業者のうち見積額の全額以上を受け取れた事業者は、公共、民間とも6、7割程度で公共のほうが若干高かった。公共、民間とも1次下請けと比べ、2次、3次以降はその割合が低くなっている。
改正法で新たに定めた規定の認知状況も確認した。著しく低い労務費による見積もり・見積もり変更依頼の禁止や労務費の基準(標準労務費)は28.6%、労務費を内訳明示した見積書を作成・尊重する努力義務は25.8%が「知らない」と回答。技能者の処遇改善に向け、官民一体であらゆる現場に新ルールを浸透させる必要がある。
