【地方経験を糧にまい進】
6月24日の2026年度総会・理事会で、日本建築家協会(JIA)の新会長に松山将勝氏(松山建築設計室代表取締役)が就任した。14代目にして史上初の九州支部出身の会長となった松山氏は、「佐藤尚巳前会長の思いを受け継ぎながら、体制構築によって社会から信頼されるJIAの歴史と理念を次世代へとつないでいく」と前を向く。『信頼される建築家、未来を築くJIA』をスローガンに掲げ、組織の新たな未来像を描く松山会長に今後のかじ取りを聞いた。
--大都市圏以外からの会長就任はJIA史上初となる中での抱負は
「福岡に拠点を置いて地域会長や九州支部長を務めてきた、いわば“叩き上げ”だ。地方でのさまざまな活動や、佐藤前会長時代の副会長としての経験が今回の会長就任につながったと考えている。加えてリモートの普及といった社会的背景の変化から、『大都市圏以外でも会長という重責を担える』と判断され、託されたと感じる。与えられた任期をしっかりと務め上げることでそれを証明したい」
--注力する事業は
「JIAの事業には外交と内政の両面がある。国際活動を含めた外交はもちろん、内政面における持続的体制の構築が自分に託された最大のミッションだと考える。組織の肥大化や会員数の減少傾向などの現状を受け止め、JIAを未来につなぐための財政・組織基盤の構築を着実に遂行していく」
「協会内の若手として、若年層とより近い立場で関われることも自分に期待された役割ではないか。われわれが得た学びを継承できるよう、下の世代にも一層コミットしていきたい」
--具体的な施策は
「持続性を考慮した良い意味での組織のスリム化が必要だろう。こうした取り組みを経て会員の理解を得ながら、ゆくゆくは会費の検討にも触れる覚悟を持って取り組んでいく」
「これまでも個人として若手建築家を主体とした場づくりにはかなり力を入れており、JIA大会では会員以外も対象に含めた『注目の若手建築家による建築討論』を開催し、新規会員獲得につなげてきた。こうした取り組みをさらに推し進め、JIAの理解促進や建築家としての職能向上にもつなげたい」
--資格制度について
「JAPANアーキテクト(仮)は、日本建築士会連合会と初めてともにつくり上げた枠組みとして大きな期待がかかっている。今後は日本建築学会やJABEE(日本技術者教育認定機構)などとともに、運用開始に向けて取り組むことになる。公共建築に果敢に挑戦できる環境づくりのため、国土交通省や地方自治体の応募資格での採用を目指したい。若い人たちが建築に希望を持てるようになることが最も大切な点だ」
「建築士法の改正案は、受験資格緩和によって裾野を広げる取り組みとして個人的に評価している。建築士は社会的に非常に重要な存在であり、減少が続けば国としての大きな損失につながりかねない。早期に資格を取得できる仕組みを整え、仕事に対する自信や覚悟を早い段階で持ってほしい」
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(まつやま・まさかつ)1991年3月東和大工学部建設工学科卒後、同年4月赤松菅野建築設計事務所入所。97年9月松山将勝建築設計室設立、2000年8月松山建築設計室に改称し、代表取締役として現在に至る。JIAでは、14年九州支部福岡地域会会長、20年九州支部長、22年副会長。鹿児島県出身。68年11月28日生まれ、57歳。
◆記者の目
九州支部長時代には組織の大胆な若返りを先導した。「当然反発もあったが、誰かがやらなければ変わらない」と決断した。「各地域での対話などに身を粉にして取り組んだ」と振り返る姿には、自身の座右の銘である「継続は力なり」を体現する実直さがにじむ。地方や本部での幅広い経験を生かし、新たなJIAを堅実にリードする。
