【全国会員と共に課題解決】
日本空調衛生工事業協会の小島和人会長は、新会長に選任された5月の定時総会で、空調衛生工事業を含む設備工事業の人手不足が建設業の中でも特に深刻化していることに触れながら、「技術者・技能者確保」と「施工現場の生産性向上」の二つの取り組みに注力する方針を示した。「全国の会員企業と手を取り合い、この大きな二つの課題を解決するのが役目」との認識を示す小島氏に、運営方針を聞いた。
--就任の抱負は
「総会で技術者・技能者確保と生産性向上の二つの取り組みに注力すると話をしたのは、昨年1年間、日空衛の地方活性化委員会で各地方の方々と話をしたときに、社員1000人以上の企業とそれ未満の企業では課題が違うと感じたためだ。業界団体の目的は業界の発展にある。各都道府県の会員企業と一緒になって、空調衛生工事業界を盛り上げていきたい」
--技術者・技能者確保の方向性は
「『頑張れ、頑張れ』と言うだけでは業界に人が入ってこないため、何らかの行動を取らなければならない。地域の企業は新入社員が非常に少なく、同世代の相談相手がいないことや教育の仕組みが整っていないことを理由に、せっかく入社しても辞めてしまう。そこで、例えば『日空衛アカデミー』といった形で、日空衛が地域の会員企業に入社した技術者を一定期間教育するようになれば、新入社員は同期の相談相手ができて仕事を続けられ、地域インフラも支えられるのではないだろうか。まずは離職防止に向け、地域企業が自力で実施するのが難しい教育の取り組みを考える」
「技能者については協力会社任せにせず、日空衛が成功事例をまとめ、それを配管工やダクト工などの団体に共有するなどの取り組みを進めたい」
--生産性向上の方向性は
「建設現場の4週8閉所が増えてきた。残業時間も減ってきた。他方で、それらによって工期が伸びている。BIMや生成AI(人工知能)などを使い、生産性を高めていかなくてはいけない。取り組みの一つとして、経済産業省の『現場ファースト運動』に日空衛が参画した。社会インフラに関わる人材の確保・育成に加え、ドローンやロボットなどを積極的に使っていく運動だ。情報を収集しながら生産性向上に取り組む」
--他団体との連携方針は
「元請け団体に対して働き方改革の共同要請を実施してきた日本電設工業協会の文挾誠一会長とは、継続してさまざまなことをやりましょうと話をしている。ただ、お願いするばかりではだめだ。われわれがこういうことをするので一緒に取り組んでほしいと提案をしていきたい」
--日本建設業連合会と不動産協会が「持続可能な建設業及び不動産業の実現に向けた協議会」を6月に設置した動きをどう見ているか
「発注者団体と元請け団体の協議開始は素晴らしいことだ。初回の会合で設備工事が話題になったようだが、個人的にはサブコンが認識されているのが分かってうれしい。その場に日空衛もぜひ呼んでほしい」
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(こじま・かずひと)1984年3月山梨大工学部環境整備工学科卒後、同年4月高砂熱学工業入社。理事東日本事業本部横浜支店長、執行役員大阪支店長、取締役兼執行役員経営戦略本部長を経て、2020年4月から社長。愛媛県出身。61年9月6日生まれ、64歳。
◆記者の目
好きな言葉に「遠くをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す」を挙げる。江戸時代に数多くの困窮する村を立て直した農政家・二宮尊徳の名言で、長期的な視点と計画性を持って行動する人は豊かになり、反対に目先の利益ばかりを追う人は貧しくなるという意味だ。大小さまざまな空調衛生工事企業を代表する全国団体のトップとして、業界が直面する目の前の課題に着実に対応しつつ、地域の状況に目を配らせながら業界全体の人材確保という大きな問題の解決に力を注ぐ。
