【国民全体巻き込んで防災力向上/防災庁年内設置へ準備加速】
13日に災害対応の司令塔となる防災庁設置法が成立した。年内の設置に向け、政令の制定を含め準備を加速させるとともに、「防災立国の推進に向けた基本方針」に掲げた、徹底した事前防災や発災から復興までの一貫した災害対応に向けて施策を充実させていく。内閣府政策統括官防災担当で内閣官房防災庁設置準備室次長も兼務する横山征成氏に、防災庁が目指す姿や設置までの準備過程について聞いた。
--防災庁設置に向けて改めて抱負を
「国民からの期待に応えるため、課題を克服して防災政策を前に進めていかなければならない。ハード、ソフトの取り組み目標に対して進捗(しんちょく)を管理しながら、各府省庁への勧告権を背景に政府全体の取り組みを推進する。災害が発生した際は、政府全体の要になって地方自治体や民間を巻き込んだオペレーションが効率的に行われるよう体制をしっかりと整えたい」
--設置に向けての懸念は
「防災庁ができることにより悪い意味で、国民が安易に安心を抱くのは良くないと思っている。事前準備をしていても限界があり、少なくとも初動段階では地域で自身の命を守ることが必要になる。自助・共助の領域に関して『防災庁がやってくれるので自分たちは頑張らなくてもいい』といった逆のメッセージにならないように気を配っていきたい」
「国民や民間企業、NPOなどと連携し、一緒に防災に取り組むことも必要だ。防災庁だけが前のめりになるのではなく、国民全体を巻き込んだ防災力向上を広めていきたい。その意味で防災教育や防災活動の普及啓発にもしっかり取り組んでいく。災害対策への理解が深まれば、ハード整備やインフラのメンテナンスの重要性についても国民の理解が進むだろう」
--年内の設置に向けて具体的にどう動くか
「最低限の政令を整備しなければならないし、現実問題として執務環境や仕事を進める上での業務システムも内閣府から独立する形でつくる。まずは事務的な作業を進めることが一つの大きな課題だ」
「それから地方機関の防災局や防災大学校をどうするべきか検討していく。それぞれ、地方と連携した防災体制強化や民間を含めた防災人材育成の拠点となる。2028年度の夏までに設置する防災局の場所に関しては、自治体や国民の目に見えるようなプロセスで決めていく」
「政策に関して『定量的弱部分析』による地域レベルでの災害シミュレーションや防災技術の開発・実装などについて内閣府防災担当で会議体を設け、中身を詰めている。防災庁を設置した段階でその成果を国民に見える形で示したい」
--27年度予算の概算要求に向けては
「26年度に創設した防災力強化総合交付金施策の拡充や防災に関する普及啓発など、必要な費用はたくさんあり、内部で検討を進めている。日本成長戦略で掲げた17の戦略分野の一つである防災・国土強靱化については、内閣官房の国土強靱化推進室が主に担当するハード整備も含まれるが、防災庁は防災技術の開発や海外展開の部分を担う。建設業界にとっても、現場のニーズに対応するために開発した技術自体が商売の種になり、海外でも受注できる可能性を秘め、伸びしろがある分野だ。戦略分野については、新たに設ける『強く豊かな日本』投資枠を活用することで大胆な要求が認められる。どのように要求するか切り口を検討していく」
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(よこやま・まさなり)1993年3月東大法学部卒後、同年4月建設省(現国土交通省)入省。国交省官房参事官土地政策担当、内閣府政策統括官防災担当付参事官総括担当、茨城県副知事、国交省官房審議官住宅局担当などを歴任し、2025年7月から現職。兵庫県出身。69年7月1日生まれ、57歳。
