【人手不足見据え機械化徹底】
2026年3月期に売上高・営業利益で過去最高を達成した東鉄工業。足元ではJR東日本関連の一括発注や、発注平準化がプラスの形で影響し数字に表れた。伊勢勝巳社長は、こうした好決算の中にあっても深刻化する担い手不足を見据えて「現場の機械化を徹底していく必要がある」と力を込める。AI(人工知能)の活用も積極的に進める方針で、既に作業計画での活用を始めた。足元の事業環境と今期の見通しを聞いた。
26年3月期を振り返ると、受注高は前年・前々年の大型耐震補強工事の反動減により減少したものの、最大顧客となるJR東日本の単価改定や耐震補強、受託工事のほか、民間鉄道工事などの採算も向上し、売上高と営業利益が過去最高となった。とりわけ「民間鉄道関連工事が増え、収益を底上げしている」と説明する。
受発注の商習慣にも変化の兆しが表れているという。その一例が工事の平準化だ。特にJR東日本からの発注ペースが平準化しているという。
「今年度の修繕工事は、春先に一括発注された。以前であれば、ゴールデンウイークの輸送状況を考慮してから段階的に発注されていたが、期初から工事が発注された。今後の見通しが立てば、計画的に仕事を進められる。長らく要望してきたテーマであり、ありがたい」
普及が進むホームドア設置工事は、主に首都圏や新幹線駅などがメインターゲットとなる。「需要が現在ピークを迎えている。今後も旺盛なペースが数年続くだろう。一つでも早く設置ができるように注力する」と力を込める。
今期については、高水準の繰り越し工事や旺盛な鉄道メンテナンス需要を受けて、売上高の過去最高更新を目指す。「コスト高といった課題はある」としつつも、利益面でも過去最高を達成したい考えだ。中でも注力するのは、鉄道メンテナンスで「祖業とするこの中核事業を基盤に、事業の幅を広げていく」と前を向く。
生産性の向上に向けては、「徹底して機械化していかなければならない」と決意をにじませる。「生産年齢人口はこの10年でおおよそ年間1%ずつ減っている。今後も人が減っていくのは間違いないだろう。海外人材の活躍にも取り組んでいる。ただ、それで賄いきれるレベルではない。機械化を進めるとともに、機械化に適した仕事の環境の整備も合わせて進める」と話す。
AIも積極的に活用する方針を示す。業務導入で特に着目するのが工事計画での活用だ。「作業計画の場面では、まだまだ人間が関わっている。ここをAIで支援することは十分できる」。これまでは、社員一人ひとりが、膨大な社内のルールブックをひもといていたが、現在は社内のデータのみを巡回・検索するラグと呼ばれるタイプのAIを活用することで、必要な情報に迅速にアクセスできるようになったという。「既に実務が相当に楽になっている。さらに取り組みを進めて行きたい」と語る。
