【OJTで人的資本強化】
北海道を代表するゼネコンである岩田地崎建設の社長に岩田幸治氏が就任した。岩田社長は「初代社長の岩田徳治が創業し、今年で104年目を迎える。創業時からの歴史を引き継ぐことに重い責任を感じている」と述べつつ、「これまで大事にしてきたことをさらに大事にしながら、一層評価してもらえるように、会社を運営していきたい」と決意をにじませる。岩田社長に経営のかじ取りを聞いた。
--全国と道内の建設市場をどのように見ているか
「全国的には堅調であると捉えている。公共投資は防災・減災、インフラ・建物の維持更新のニーズが続くだろう。民間投資については、物価が上がっているものの、需要が下がっているわけではない。新規の案件に加え、維持管理も重要になってくるとみている」
「道内は、札幌市を中心に千歳市、苫小牧市にかけて産業の流入が続き、関連する需要があると考えている。札幌駅前では、再開発に対して業界側の供給能力に課題があるため、しっかりと供給能力を高めながら対応していく。北広島市はエスコンフィールドを中心としたまちづくりが進んでいる。北海道日本ハムファイターズの2軍本拠地の移転先が恵庭市に決まった。引き続き、都市間を一体的に結ぶようなまちづくりが望まれるだろう」
「一方で懸念しているのは地方だ。北海道全体で産官学が力を合わせ、交流人口、定住人口を増やしていくことがこれからの課題だ」
--今後の経営方針は
「当面は、供給力をどのように強化していくかだ。人的資本、現場の効率化、サプライチェーンの大きく三つの観点で取り組んでいく。人的資本は採用、教育、評価制度、人員配置をもう一度適正化していく。特に『OJT(職場内訓練)プロジェクト』を進めている。業界全体の離職率の高さを下げるにはどのようにすべきかを調べると、教育分野に大きなファクターがあることが分かった。建設業は中間層である40代が少なく、50、60代が20代を教えているケースが非常に多い。世代間ギャップを埋めるために、どのように教育すれば若者が覚えやすいか、あるいは質問しやすいか、双方から意見を吸い上げていく必要がある。このプロジェクトにより、『仕事を覚えやすくなった』『ストレスを感じにくくなった』という声を若手社員から聞くようになってきた。今後、全社的に展開していきたい」
--事業を進める上で、他業種などとの横の連携については
「建設業は裾野が広く、周辺業界の人々とつながることが現在に生きている。ほとんどの業界の企業が発注者になり得る存在だ。また、長い目で見た場合、地域が成り立っていかなければ、建設業界も生き残っていけない。当社は北海道全域を主戦場としており、地域が衰退すると、活躍できる範囲も札幌周辺に限られてしまう。地域をともに盛り上げ、活性化していきたい」
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(いわた・こうじ)2006年3月法政大社会学部卒、16年3月慶大大学院経営管理研究科修士課程修了。12年4月岩田地崎建設入社、16年4月常務執行役員、18年6月取締役兼常務執行役員管理本部長、19年4月取締役兼副社長執行役員管理本部長、24年6月代表取締役副社長を経て、26年6月から現職。札幌市出身。1983年11月25日生まれ、42歳。
◆記者の目
社長交代は、旧岩田建設を含めると28年ぶり。大学時代、岩田建設の社員と触れ合った時に「仕事に対する誇りと会社への愛着を持っていた」と振り返る。社員を大事にする会社であると言われ、「もっと良い会社にしたい」と決意したことが入社のきっかけになったという。『一期一会』の言葉を胸に刻み、「いろいろな人と広くつながり、出会いを大切にしたい」とも話す岩田社長に、会社のさらなる成長と地域活性化にかける強い覚悟が見えた。
