大成建設と大成ロテックは4日、自然共生社会と道路インフラなどの社会課題解決を目指す実証拠点として福島県田村市に整備した『大成建設グループ次世代技術実証センター/田村(T-FIELD/TAMURA=たむラボ)』の本格運用を始めた。中核となるZWB(ゼロウオータービル)の「自然共生型管理棟」と、生物多様性を創り評価する「ネイチャーフィールド」、舗装耐久性評価を大幅に短縮する「舗装のテストコース」で構成し、一体的に実証することで、持続可能な次世代のインフラの在り方を示す。
自然共生型管理棟は、雨水を原水に建物内の水を賄うZWBとなる。300㎡の屋根から集水した雨水を最大容量30tの貯留槽に蓄え、浄水・ろ過した上で上水に利用し、生活排水は微生物処理で中水化してトイレ洗浄水に再利用する。平時の環境負荷低減と、災害時の水利用継続を両立する建築システム。自社開発の室内環境最適制御システム「T-Factory NEXT」によるAI(人工知能)予測で、雨水貯留槽の最適水量をリアルタイムに制御し、ランニングコスト削減、ろ過フィルターの長寿命化など、集めた雨水を建物単位で循環利用する技術の確立に取り組む。気候変動による渇水リスク、災害時の断水、老朽化する上下水道インフラなど社会的課題への対応を目的とする。
また、田村市産の120mm×3mのスギ製材を活用し、小断面製材を組み合わせた部材を交差させながらアーチ形状の架構を構築するシザーズアーチ屋根架構を標準化することで、地域産木材で大空間を実現する木造架構のパッケージ技術として整備。応急仮設住宅や地方型データセンターへの展開など、調達の容易性や仮設性・増設性を強みに、地域インフラ向けの提案につなげる考えだ。
ネイチャーフィールドは、地域由来の種子で自然再生技術のさらなる高度化とネイチャーポジティブ(自然再興)実現に向けた長期実証の場となる。舗装のテストコースの内側と外周部造成地約7haに、先駆種を生かして短期間・低コストで森をつくる「T-GROVEUP」を活用して早期樹林化を目指す自然の森と、半自然草原・湿地を整備。地域と協働しながら30年間にわたり生態系・種子・遺伝子の三つのレベルに配慮した自然再生を実証する。ここで得た知見をもとに、大規模都市開発やダム、工場内の未利用地などの自然再生・緑化案件への適用を目指す。
民間施設では国内初となる実寸大舗装の耐久性を評価する実証実験走路「舗装のテストコース」は、5台の大型トレーラーによる昼夜連続走行により、実際の道路舗装の設計年数に相当する耐久性評価期間を3分の1程度以下に短縮した疲労促進実験を実施した。200mの直線区間を含む1周909mを18区画に分割。低炭素など次世代の舗装技術を実証実験することで、開発技術の早期社会実装や性能証明のデファクトスタンダード化、技術開発プロセスの確立とブランド化を実現し、舗装の未来を可視化する。
長島一郎大成建設専務執行役員技術センター長は「技術のショールームではなく、測定し、磨き上げ、世の中に送り出す実践フィールドだ。それぞれの技術開発の実証を一体化して進め、ソリューションの多様化を図っていく」と話している。
