【現場の声聞き働き方改善】
全国土木施工管理技士連合会の会長に菊川滋氏が就任した。会員の技術力や社会的地位の向上などを通じて、良質な社会資本整備への貢献が求められる中で、i-Constructionや働き方改革の進展により現場を取り巻く環境が大きく変化していることもあって、「新しい時代に合った働き方に変えていかなければならない」と力を込める。土木施工管理技士が抱える課題や連合会の今後の方針について、菊川新会長に話を聞いた。
--就任の抱負を
「土木施工管理技士は、縁の下の力持ちとして現場を支える一番大事な役職だ。彼らがどういう課題を抱えているのかしっかりと把握し、働きやすい現場が形成できる方向に持っていく。都道府県の技士会との連携を密にしながら、それぞれの地域ブロックごとに実施する意見交換会などを通じて生の声を確認し運営に生かしていきたい」
--現場で課題になっていることは
「一つはDX(デジタルトランスフォーメーション)だ。DXは人手が足りない中でも仕事を進める仕組みを整えるために重要で、工事の品質を落とさず、さらに高めるためにも欠かせない。資金力がある企業だけに対応がとどまるのではなく、中小の地方建設業者まで広げていかなければ、本当の意味での効果は出てこない」
「ただDXは、あくまでも仕事をさらに効率的に回していくためのツールとして存在する。新しい技術によって実現できることに合わせて働き方を変えていく発想が極めて大切だ」
「発注者側が掲げるDXと実際に現場で行っているDXがしっかりとかみ合っていない部分があると思う。現場の声をよく聞き、発注者に伝えることが大事であると同時に、発注者が取り組んでいる施策についても現場に発信していく。各地域が取り組んでいる好事例も横展開していきたい」
--働き方改革にどう対応するか
「人口が増えている時に、働き方改革に取り組むのはそれほど難しくはない。人員を確保できるため、みんなで働く時間を少しずつ減らし仕事を分け合えば良いからだ。だが日本の人口減少が急激に進み、担い手の絶対量が不足していく中で、働き方改革も一緒に進めることは大変難しい。i-ConstructionやDXなどを推進し、新しい技術を上手に使って仕事の仕組みそのものを変えていかなければ答えは出ない」
--このほか力を入れたい活動は
「若い技術者の技術力向上を目指す。連合会が運営するCPDS(継続学習制度)などを通じて技術力を磨いてもらい、2級の技士が1級の試験にチャレンジするように、次のステップに上がることを応援していく。それが結果的に技術者の確保にもつながる。CPDSが経営事項審査の加点要素になることもあり、会員数は約11万6000人まで増えてきている。期待が大きいためこれからも充実させていきたい」
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(きくかわ・しげる)1977年3月京大大学院修士課程修了後、同年4月建設省(現国土交通省)入省。関東地方整備局長や道路局長、技監などを歴任。2013年の退官後は経済調査会理事長や世界道路協会副会長、橋梁調査会理事長などを務め、5月29日から現職。このほか日本トンネル技術協会会長なども兼任している。熊本県出身。1952年11月5日生まれ、73歳。
【記者の目】
国交省時代を含め50年近く建設業に関わるが、今回初めて技術者を支える立場に就くという。「大変フレッシュに思っている。とてもいい役割をいただいた」と新鮮な気持ちで職務に励む。国交省時代には一般競争入札の導入など入札契約制度の改正に関わったが「いくら仕組みを変えても、最後は現場の技術者の力量にかかる」と実感を込めて語る。「もう年なので引き際を大事にしたい」とも話すが、これまで培った経験と知見を存分に発揮し、現場の第一線に立つ技術者のためにさらなる活躍を期待する。
