首都高速道路会社は8月6日、第二期大規模修繕事業として進める「(修)荒川湾岸橋大規模修繕工事」の現場見学会を開いた。2025年11月から橋梁全体の塗り替え塗装と損傷補修のための足場設置作業に着手。当初施工径間の足場設置が完了し、工事が本格化した現場を公開した。
施工はIHIインフラシステム・川田建設・ヤマダインフラテクノスJVが担当。約7年半をかけて東京側の中間径間を含む延長約460mの損傷補修と橋梁全体の塗り替え塗装(総塗替面積約7万㎡)を行う。総事業費は約110億円を見込む。
同工事では、つり足場を上層・中層・下層の3段に組み、橋梁全体を覆うように設置して、その上に枠組足場を設けて作業を実施する。足場はA工区からB工区へ最大2径間となるよう、設置と撤去を繰り返すことでコストを縮減。強風時の安全性確保にも工夫を凝らしながら施工を進める。これらの工事により構造物の健全性を抜本的に改善し、今後の維持管理を大幅に効率化することで、100年先も機能し続ける橋の実現を目指す。今後は東京側と並行して、千葉側の工事着手を目指す。
荒川湾岸橋(高速湾岸線)は、1978年の開通から48年が経過しており、河口付近という飛来塩分の影響を受けやすい環境にある。そのため、塗膜が下地から広範囲に剥離し、それに起因した鋼材の腐食などが想定以上に進展している。今回は古い塗膜を完全に除去する「1種ケレン」と、安全な「水性フッ素樹脂塗装」を導入する。さらに、点検効率向上のためトラス上下部へ「新たな点検通路」と中央径間への「常設足場」を設置。ガセットプレートなどには「高耐食性材料」を採用し、長期耐久性の確保を図る。
荒川湾岸橋の総延長は約840mで、幅員は約30-50m。車線数は往復8車線(建設時は往復6車線)。構造形式はトラス橋(中央径間は鋼床版箱桁橋)となり、構造概要は定着径間4径間、つり径間3径間(中央部は鋼床版箱桁)。
今後は点検容易性の向上や安全管理の高度化を図るため、「3D損傷情報一元管理プラットフォーム」「4Dシミュレーションによる工程の可視化」「ICタグ等を用いた作業員管理システム」などのDX(デジタルトランスフォーメーション)技術の導入を検討している。
首都高速道路東京東局の岡原貴司土木保全部長は、「荒川湾岸橋は国道357号とJR京葉線が並行しており、迂回(うかい)路の設置や橋梁の架け替えが非常に困難な状況にある。今回の工事で健全性を抜本的に改善するとともに、将来のメンテナンス性を向上させる」と話した。
首都高速道路全体では総延長327.2㎞のうち、開通から50年以上が経過する路線の割合が30年に約4割、40年には65%に達するなど道路の高齢化が深刻化している。このため、19年の更新計画に続き、24年にも新たな更新計画を立ち上げ、高齢化が進む約22㎞を対象とした大規模修繕事業を進めている。
