国土交通省は4日、インフラ分野のAI(人工知能)実装に向けた取り組み方針を発表した。AIを「現場で働く人の能力を拡張させ生産性向上を加速する基盤」と位置付け、直轄現場などで徹底的に活用する。まずは受発注間の情報共有システム(ASP)にAI機能を追加し、中小建設企業も含め“当たり前”に使われる環境を整備する。
一品生産や多層的な契約構造といったインフラ分野の特性を踏まえ、AI活用の考え方や方向性を示した。柱は、▽直轄事務所などの現場でのAI徹底活用▽産学官協働のAIデータ連携の推進▽現場へのフィジカルAIなどの導入--の三つ。人とAIの協働で生産性を高め、インフラDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させる将来像を描く。
直轄事務所を「AI実装の最前線」に定め、受発注者がAIを活用できる環境を率先して整備していく。まずはASPの機能要件に対話型AI機能を追加し、設計図書や工事関係書類を効率的に参照できるようにする。
直轄工事で原則化し全都道府県・政令市で導入しているASPを軸に、地方自治体や地域建設業のAI活用を広げる。将来的には構造物の基準・規格値と出来形データの照合をAIが支援する「AI臨場」の導入を目指す。
これまでPDFが主だった成果物の納品方法を見直し、AIが学習しやすいデータ形式とすることを検討する。データの再利用や検索がしやすい方法とすることで、蓄積した成果物が継続的に使える環境を整える。
共通仕様書や出来形管理基準などの技術基準類も、AIが参照しやすい形式に改める。先行して土木工事共通仕様書を見直した。また、設計、施工、維持管理の各段階で生まれたデータをAIが活用できる連携基盤を構築する。
地方整備局や直轄事務所などでAI活用に向けた体制を整備し、現場実装を主導する。
近畿地方整備局が設置する生成AI活用推進チームのイメージで、AI活用のノウハウを蓄積していく。人材育成にもAIを活用し、現場での対応力や判断力を高める仕組みを構築する。
取り組み方針は8月26日に開いたインフラ分野のDX推進本部で決定した。
