2026年度日本建築学会大会(中国)で10日、建築計画部門の研究協議会が開かれた=写真。テーマは「2024年能登半島地震の住まいと生活の課題―発災から2年半を振り返って」。能登半島地震の特徴を掘り下げつつ、その課題を既存資源の実態・活用、公的住宅整備や専門家の役割といった視点から共有し、復興に対する関わり方や情報共有の在り方などを意見交換しながら探った。
横浜国立大の佃悠准教授は趣旨説明の中で、能登半島地震の特徴を「9カ月後の奥能登豪雨によって二重の被害を受けた点や、伝統的建造物群保存地区である輪島市黒島地区が被害を受けたことで、人々の生活がそこでのなりわいとともに失われた点などが挙げられる」と報告。さらに、「東日本大震災と比較して高齢化率がより高く、人口流出や高齢化が進行している中で復興を考えなければならない状況」にあるとした。
続いて、東北大の池田暉直氏ら6人が登壇し主題解説した。
市浦ハウジング&プランニングの奥茂謙仁氏は、住宅復興状況のうち、特に自身が担当する奥能登地域での災害公営住宅の供給状況を共有した。
供給に当たっては「公有の候補地が少なく、居住誘導区域外や農地転用、開発許可を要する民有造成地などに候補地を求めざるを得ない」現況を明らかにした。このほか、半島部単価に人件費や資材の高騰分が上乗せされて建設費が膨らみ、「RC造が回避され、S造共同住宅に移行する自治体もある」と語った。
さらに、将来的な人口流出などの課題を踏まえ、住宅復興の合理的かつ早期の実現のための「災害公営住宅の多様な調達・発注方式」が必要との見解を提示。「供給規模に応じて設計施工一括発注や分離発注を使い分け、地域工務店などが参画できる調達の工夫が必要だとした。
このほか、東日本大震災と比較して「元の場所に家を建て直す」という「単線型復興」から被災者の事情を勘案した多様な生活再建を選べるようにする「複線型復興」へと進化しているとする論点や、研究成果がなかなか社会実装に至らず、「大きな制度へのインパクトが欠けているのではないか」との指摘に基づいて、意見が交わされた。
