国土交通省は、改正建設業法に基づく労務費の基準(標準労務費)の実効性確保に向けた賃金情報提供システムの試行運用を2027年1月にも始める。技能者が入力した賃金情報を建設Gメンが端緒情報として活用する仕組みで、適正な労務費や賃金の支払いにつなげる。試行運用で改善点を洗い出し、27年度中の本格運用を目指す。
賃金情報提供システムは、技能者に年収や建設キャリアアップシステム(CCUS)のレベルなどを入力してもらい、情報提供された賃金がCCUSレベル別年収の標準値を下回っているかを簡易に判定する仕組み。標準値を下回る場合は建設Gメンに情報共有され、注文者や雇用主に対して労務費ダンピングの恐れがないかを確認するための端緒情報として扱われる。
標準労務費の支払い段階の実効性確保策に位置付けており、25年度補正予算でシステム構築に向けた調査検討業務を実施した。現在、情報提供フォームの作成や開発・運用に要する費用の試算を進めているほか、全国建設労働組合総連合の協力を得て技能者にシステムの使い勝手を確認している。
5日に開いた中央建設業審議会の労務費の基準に関するワーキンググループ(WG)でシステム運用のスケジュールを説明した。
日本建設業連合会の白石一尚人材確保・育成部会長は、技能者の自己申告がベースで匿名入力も可能とすることについて「不正確な情報入力による不必要な調査の実施など現場の混乱が懸念される」と表明し、入力データの正確性を担保するよう要望した。
日本アイ・ビー・エムの榎並友理子常務執行役員は、高齢の技能者なども想定した利用環境の整備を提言。加えて、これらの技術活用により「市場の透明性が向上し処遇改善への圧力が高まることで、企業の自発的な取り組みを促すのではないか」と展望した。
法政大社会学部の惠羅さとみ准教授は、現場で働く技能者への周知が肝要とした上で「申告がなければ問題がないわけではない。システムだけに依存せず、さまざまな調査などとの組み合わせが必要だ」と指摘した。
