清水建設は、海水中の二酸化炭素(CO2)を直接回収する海洋由来のCO2回収技術「DOC(Direct Ocean Capture)」の実海域での実証事業に着手する。東京湾に実証プラントを設置し、実海水を使ってCO2の回収性能や長時間の連続運転における設備の安定性、処理水の環境適合性などを検証し、社会実装に向けた取り組みを進める。
東京都が推進する東京ベイeSGプロジェクト「Tokyo Bay Innovation Field」の支援を受けて実施する。
DOCは、海水に溶存する無機炭素をCO2として分離・回収する技術。具体的には、取水した海水に前処理を施した後、電気透析によって一時的に海水の性質を変化させ、海水に溶け込んだ無機炭素をCO2として取り出す。回収したCO2は濃縮し、地中貯留による恒久的な炭素除去のほか、産業用途での利用を想定している。
清水建設は2023年から、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と共同で、DOCの原理検証や要素技術の評価、導入可能性の調査などの研究開発を進めてきた。
直近では、実海水を使用した各種評価を迅速に行うため、従来のラボスケールでの試験装置を改良し、可搬式のCO2回収試験ユニットを開発している。
今回採択された実証では、実海域でCO2の回収性能を確認するとともに、 長時間の連続運転における設備の安定性や保守性、 エネルギー使用量など、実用化に向けた運転データを収集する。また、将来のカーボンクレジット化を見据え、 実証データを用いて大気からの炭素除去量を算定するなど、 MRV(測定・報告・検証)の方法を整理する。
さらに、実証で得られたデータを基に、設備の大型化・規模拡大に向けた技術的課題を整理し、 経済性や既存の海水利用施設への導入可能性を評価する。回収したCO2については、 建設現場などで発生するアルカリ性排水の中和への利用をはじめ、産業用途への展開可能性も検討する。
実証期間は10月から29年3月まで。こうした取り組みを通じて社会実装と事業化を目指す。
