
清水建設は、アジア太平洋地域における浮体式洋上風力発電市場でトップランナーを目指す。3年以上技術協力関係にあるアイルランドの海洋技術スタートアップ(新興企業)「Dublin Offshore Technology(ダブリン・オフショア・テクノロジー=DOT)」と、同地域のプロジェクト参画に向けた戦略的協業覚書(MOU)を交わすとともに、同社へ出資した。出資額は数億円程度とみられる。
DOTは、浮体式洋上風力発電の建設コスト削減と施工効率向上を可能にする画期的な荷重緩和装置(LRD)を開発し、権利化している。
LRDは浮きに似た円筒形の装置で、海底と浮体構造物をつなぐ係留索の中間に設置され、波浪や強風により係留索に生じる荷重を吸収する。係留索の本数減と小口径化、既存船での施工が可能となる。浮体式洋上風車1基の建設費のうち、約20%強を占める係留システムの建設コストの半減が視野に入るという。
LRDは2025年末にノルウェーの国際認証機関であるDNVからプロトタイプ認証を取得している。今後、本格的な商業化フェーズに移行することから、浮体構造物係留システムの主力装置として採用拡大が見込まれる。清水建設は、DOTと協業することでアジア太平洋地域における独占使用権を取得する。
清水建設が参画した福島復興浮体式洋上ウインドファーム実証研究事業(経済産業省の委託事業)のデータを使ってLRDのコスト削減効果を評価した結果、今後主流になる15メガワット級の浮体式洋上風車を水深100メートルの洋上に設置するケースでは、チェーン径が185ミリから132ミリに、本数が9本から6本に削減されることで、1基当たり約20億円のコスト削減を見込む。
