【本】魔球が導く広島カープ優勝と人間模様に目が離せない! 千葉県県土整備部・野田氏の一冊『エンジェルボール』 | 建設通信新聞Digital

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【本】魔球が導く広島カープ優勝と人間模様に目が離せない! 千葉県県土整備部・野田氏の一冊『エンジェルボール』

『エンジェルボール』(双葉文庫、第1巻630円+税)
 広島カープが25年間優勝から見放されていたころ、フィクションでは一足先に栄冠に輝いている。それが本書である。
 主人公は42歳バツイチのトラック運転手寺谷。事故をきっかけに天使から、ボールを意のままに操る力を授かる。この魔球「エンジェルボール」をひっさげカープにテスト入団。謎のルーキーはやがて守護神に抜擢されカープを快進撃に導く。そこに立ちはだかるのは、悪魔の力でバットを操るライバル早野。早野のいる千葉ロッテとの日本シリーズ最終戦九回裏。天使と悪魔の対決の行方はいかに…。
 手に汗握る熱戦が縦糸なら、横糸は登場人物をめぐる人間模様。野球での活躍とともに寺谷と元妻の距離感も徐々に変化。魔球はまた家族の絆を紡ぎなおす魔法でもあったのだ。早野の悲壮な決意、寺谷を追い続ける記者の心境、チームメイト達原の成長。さまざまなサブストーリーが展開されていく。
 そして明かされる魔球の秘密と寺谷の覚悟。爽快感と喪失感を同時に味わうクライマックス。文庫4巻の長編なのにあっという間に読了してしまう極上のエンターテインメントである。
(千葉県県土整備部長 野田勝)

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