三菱電機ビルソリューションズは、東京ビッグサイト(東京都江東区)で3月3日-6日に開催する建物・施設のメンテナンス技術総合展「ビルメンCONNECT」に出展した。ビル内の設備データを収集・蓄積するIoTプラットフォーム「Ville-feuille(ヴィルフィーユ)」を活用し、エレベーターを使用してロボットがビル内を“縦移動”する「ロボット移動支援サービス」、中小ビルのZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)運用を支援する「エネルギーマネジメントサービス」など、同社の強みを生かした次世代スマートビルソリューションを展示する。
同社は『Smart Building Solution(スマートビルディングソリューション)』をテーマに、業界トップシェアを誇るエレベーターや入退室管理システムなどを掛け合わせた独自のスマートビルソリューションを加速している。設備データのプラットフォームに同社の開発したビルOSの「Ville-feuille」を活用し、さまざまな設備機器と連携してビル就業者の利便性、快適性、省エネの向上、業務効率化に役立つサービスを提供する。
今回出展するビルメンCONNECTでは、Ville-feuilleを中心にスマートビルを実現するさまざまな製品やシステムを展示する。ビルの就業者が働きやすく、生産性を向上し、居心地のいい「最適な環境」を実現するため、ビルオーナー、管理会社、デベロッパーなどの来場者と意見交換し、顧客ニーズの変化や社会課題を捉え、技術開発や製品のブラッシュアップにつなげる。同社日本事業統括本部事業戦略本部空調冷熱・システム販売企画部システム課の今井健二氏は「昨年の2倍に展示面積を拡張し、当社の商材をさまざまな来場者に発信できるようにした。技術者が顧客と直接意見交換できる場でもあり、自分たちが普段気づかないことやニーズを把握して製品やサービスの開発に生かしたい」と話す。
◆ロボットがビル内をシームレスに移動
展示の中心となるVille-feuilleは、ビル設備の稼働データやセンシングデータなどを収集・蓄積し、AI(人工知能)やビッグデータの解析などを駆使して新たな付加価値を提供するプラットフォームとなる。同課の粕谷祐二氏は「Ville-feuilleはスマートビルを実現するデータの『箱』。スマートビルを実現することで、従来の安全・安心に加え、快適、健康などの付加価値を提供したい」と語る。
最初のステップとして自社の強みであるエレベーターや入退室管理システムを掛け合わせたソリューションを提供する。具体的には、ロボットがエレベーターを呼び出して乗り込み、目的の階で降りる「ロボット移動支援サービス」を開発した。警備、配送、清掃などの分野でサービスロボットの普及が進む中、ビル内の“縦移動”を実現して自由に移動できる画期的サービスとなる。
入退室管理システムとも連携することで、Ville-feuilleがセキュリティーゲートの開放や自動扉の解錠を指示し、ロボットがフロア内の広い範囲を移動できるようにして横移動も円滑化する。粕谷氏は「これまでのロボットはエレベーターに乗れないため、各フロアに配置する必要があった。このシステムを利用すれば1台のロボットがビル全体を移動できるため最小台数で効率的に稼働できる」とメリットを語る。
新機能として「ロボット管制」機能も搭載し、複数台のロボットが通行する場所は調停エリアとして侵入可否を判断し、ぶつからないよう指示をする。「ロボット統合監視」は、ビル管理者がパソコンやタブレット端末からロボットの位置や稼働状況、異常などを一元的に監視できる。
さまざまなメーカーが開発するロボットとデータ連携するため、経済産業省の「ロボットフレンドリー施設推進機構(RFA)」に参画し、同機構が発行するRFA規格をVille-feuilleに概ね準拠させ、標準化を進めている。「今後日本は人口減少することが予測され、人の作業を代替するロボットがさまざまな産業で開発されている。ロボットフレンドリーな環境を整備し、人とロボットの共存による生産性や快適性の向上につなげたい」とし、デベロッパーや設計事務所、ゼネコンにロボットと共存する新たなビルのあり方を提示する。
◆ZEB運用やエネルギー管理を支援
さらにVille-feuilleは、ZEBの運用支援や手軽なエネルギー管理を実現する「エネルギーマネジメントサービス」を提供する。ビル内外のデータをクラウド上で一元管理し、ビル統合ソリューション「BuilUnity(ビルユニティー)」で複数ビルの設備を遠隔監視・制御する。
具体的には、遠隔からビル内設備の稼働状況を確認し、照明等ビル設備の発停などを操作する。複数のビルを所有する場合、現地に赴くことなく設備機器をコントロールし効率良くビルを管理する。問題が発生した場合は管理者にメールで通知する。
さらに、クラウドに収集したビルの消費電力や設備の稼働状況、温湿度などのデータをさまざまなグラフ形式で“見える化”する。データは顧客のパソコンにダウンロードし、エネルギーの運用改善策の検討やレポート作成などを省力化する。各種ZEBの達成状況も見える化する。
同社は総合電機メーカーで初めてZEBプランナーを取得し、10年にわたり全国のプロジェクトでZEBの導入を支援してきた。粕谷氏は「昨今は既存ビルや工場などのリニューアル時にエネルギー効率を高める『ZEBオリエンテッド』が注目されている。これまでの知見を生かしてZEB事業を活性化していきたい」と力を込める。
◆照明、デザイン、音で、エレベーターの快適性を向上
展示では、Ville-feuilleのほかにも利用者の快適性を追求するさまざまな製品やサービスを紹介する。「快適空間エレベーター」は、視覚と聴覚に訴える機能を組み合わせ、乗車時間の快適性向上を目的としたエレベーターとなる。外の採光が難しいエレベーターに、時間に応じた空の表情を表現する「青空照明misola(みそら)」を搭載し、明け方の空、昼の青空、夕焼けなどを再現する。
エレベーター専用の立体音響システム「DIATONE Ambience」も搭載し、鳥のさえずりや虫の音などのコンテンツ音源を時間帯に合わせて再生して開放感ある空間を演出する。疑似的な自然空間の創出による快適な利用環境の提供やストレス解消効果が評価され、2024年度グッドデザイン賞を受賞している。昇降機販売企画部保守・モダニゼーション課の長谷川直人氏は「エレベーターはかごのサイズに限界がある。青空照明を配置し時間に合わせた空の変化を再現し、外と地続きのような空間を演出することで快適性を向上させる」と説明する。
また、スマートワーク・アプリ「BUILDAYS(ビルデイズ)」は、ビル内の就業者が、ICカードを持たずにスマートフォンで扉の解錠、入退室認証、エレベーターの呼び出しなどを行い、スムーズな移動に寄与する。今後も快適性を高める機能を開発し、追加する予定だ。
光のサインを床面に投影し、行き先案内や注意喚起を行う「てらすガイド」も展示する。鉄道駅、空港、庁舎、病院、ホテルなどで導入が進んでいて、ビル内の安全・安心を補助することが期待される。ロボット移動支援サービスと組み合わせ、エレベーターからロボットが出てくる際にサインを投影し、出口に並ぶ人に注意喚起することも想定している。
開催を目前に控え、今井氏は「来場者の『建物価値を向上したい』『ユーザーフレンドリーで使いやすいか』『省エネ成果は出ているか』という要望に対する効果を、実機を通して実感してほしい。顧客の課題解決につながるよう全力で対応する。ぜひ当社のブースに訪れてほしい」と力を込める。





