東京都の2020年度当初予算の編成が大詰めを迎えている。6日から小池百合子知事の査定が始まった。財務局による査定結果では一般会計は7兆2964億円。新元号で初めて編成する予算は、過去最大だった19年度一般会計予算を下回るものの、これに次ぐ規模となりそうだ。一方、財務局査定の一般会計・土木費は5822億円。前年度の当初予算額を上回っており、5年連続で5500億円台を超える見通しだ。河川の護岸や調節池など防災力の強化を引き続き進めていく。
建設局の予算要求額は増加傾向にある。10年代前半は4700億~4800億円で足踏みが続くが、夏期オリンピック・パラリンピックの東京開催が決まった後の14年度に5000億円の大台を超え、環七地下広域調節池の工事などが本格始動した16年度には6000億円を突破した。
上昇の背景の1つには都の防災事業の強化がある。11年3月の東日本大震災を受けて、橋梁や特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化といった大規模地震への備えの強化を始めた。中小河川の集中豪雨対策では、14年に豪雨対策基本方針を改定し、調節池による対応を本格化させた。橋梁の長寿命化・補修工事の増加なども後押しした。
五輪関係の施設整備がいずれ終了する一方で、こうした都市基盤の整備や防災事業は中長期的に一定の需要が続くと見られる。
まちづくりでは築地市場跡地周辺の開発や新宿駅直近地区の土地区画整理などが控えている。防災面では無電柱化事業や木造住宅密集地域の不燃化のほか、40年代を見据えた東京の将来像となる「未来の東京」戦略ビジョンでは、新たな調節池の整備やインフラでは都営地下鉄延伸の事業化検討などが盛り込まれた。
都の財政収支の長期推計では、道路・橋梁や河川・海岸、公園に加えて下水道事業や公営住宅建設、東京港整備などを含めた歳出が18年度決算額の8800億円から21年度には9800億円の水準となり、推計期間の終わりとなる40年度までこれを維持するものと推計している。
知事査定は10日まで実施する。初日の査定開始に先立ち、小池知事は「五輪大会を確実に成功に導くのが開催都市の使命。その裏付けとなる総仕上げの予算だ」とした上で「東京の持続的な成長に向けて大会後を見据えた種まきも重要」と語った。当初予算案は24日の公表を目指している。