【よみがえれ団地!】JSが賃貸住宅をDIY対応にリノベ 初弾は稲毛海岸三丁目団地 | 建設通信新聞Digital

5月5日 日曜日

公式ブログ

【よみがえれ団地!】JSが賃貸住宅をDIY対応にリノベ 初弾は稲毛海岸三丁目団地

間仕切りを取り払い開放的な空間とした

 1960年代以降に開発された大規模住宅団地は現在、経年変化とともに空き家の増加が全国的な課題となっている。そこで日本総合住生活(JS)は既存共同住宅ストックの活用に向け、分譲団地空き家活用事業に着手した。初弾案件となる千葉海浜ニュータウン地区稲毛海岸三丁目団地は、JSが空き家を住戸単位で買い取り、DIY対応賃貸住宅にリノベーションして貸し出す。若年層などのニーズに対応し、団地の価値向上と地域の活性化を図るのが狙いだ。
 旧公団分譲住宅の稲毛海岸三丁目団地は、68年に入居が始まった。RC造5階建てが27棟、総戸数768戸の建物で構成されている。住戸は3DK、3LDKで47-66㎡。所在地はJR稲毛海岸駅から徒歩14分の千葉市美浜区稲毛3-3。

リノベーション前の住戸

 現在は60戸程度が空き住戸となっており、JSはこのうち4戸を買い取り、1戸はモデルルーム、1戸は16日から賃貸募集を開始し、残り2戸もDIY対応とする予定だ。
 JSは、地元NPO法人「ちば再生サーチ」と空き家活用について調査し、管理組合の問題意識も高く、JSの管理案件の同団地で取り組みを始めることにした。JSは管理組合と連携して空き家所有者に活用策を提案し、ちば再生サーチと連携して新規入居者を募集する。
 JS営業企画部の斉木広和新規担当部長は、「分譲住宅の空き家を、賃貸住宅では珍しいDIY対応にリノベーションすることで、若年層を呼び込み団地の活性化につなげる。ゆとりのある敷地に緑が多い、団地の魅力を再発信したい」と事業の狙いを語る。

棚を取り付けた間柱

 稲毛海岸三丁目団地は、DIYの手がかりとなる間柱を設けたほか、既存の間仕切りを取り払い、床の仕上げの変化でゾーンを区別した。間柱に棚を付けたり、壁の一部に色を塗ったり、カーテンで空間を区切るといったDIYは、原状復帰の必要がない。多様化するライフスタイルに合わせ、自分らしい暮らし方を実現するため、賃貸住宅をカスタマイズできる。
 「躯体以外の間仕切りを取り払い、ワンルーム化し、開放的な空間にした。押し入れなどの収納もなくし、収納は自分で確保してもらう」(斉木部長)のも特徴だ。入居者は、生活実験家・西山芽衣さんが運営する西千葉工作室(千葉市稲毛区)でDIYについてアドバイスを受けることもできる。
 老朽化した空き家は、手入れをしないと、貸すことも売ることもできないが、区分所有者には一時的な金銭的負担が生じる。空き家のままでは防犯上の課題も残る。
 リノベーションにより、希望価格で売れない空き家を解消したいという所有者の課題や、空き家が増える心配、団地内の住み替えといった問題にも対応する一方、団地の豊かな環境を望む新規入居者のニーズにも応える。
 実際に、団地内の賃借入居者からも住み替えたいとの問い合わせがあるという。

稲毛海岸三丁目団地

 今後は「稲毛海岸三丁目団地では、17-19年度の3年間で10戸程度に取り組む。それからは千葉海浜地区に広げ、全国の他団地への展開も目指す」(斉木部長)。将来的には、希望者への分譲や借り上げて貸し出すサブリースも検討する。

建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら