【天ヶ瀬・川上は完成間近】関西のダム建設が最盛期 各地の整備事業の進捗と今後を追う | 建設通信新聞Digital

5月9日 木曜日

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【天ヶ瀬・川上は完成間近】関西のダム建設が最盛期 各地の整備事業の進捗と今後を追う

 関西では複数のダム建設事業が進み、近畿地方整備局と水資源機構関西・吉野川支社管内でも工事が最盛期を迎えている。足羽川ダムは2020年度から本体工事に着手し、川上ダムでも22年度の完成に向けて本体工事が進んでいる。天ヶ瀬ダム再開発事業は21年度に完成予定で、仕上げの段階に移る。大戸川ダムは本体工事の時期は未定だが、準備工事の付替県道整備が活発だ。ダム整備事業の進捗と今後を追う。

 福井県を流れる足羽川と日野川、九頭竜川下流地域の洪水被害軽減を目的とする足羽川ダムは、全体事業費1300億円のうち、20年度に101億円を投じ、用地取得や補償、工事、測量設計を進める。本体工事は1期工事を清水建設・大林組JVが担当し、今秋に着手する予定で、着工から約13年での完成を目指す。現在は付替県道・町道と原石山掘削工事を進めている。

足羽川ダムのイメージ


 「足羽川ダム河床部放流ゲート設備新設工事」と「足羽川ダム常用洪水吐ゲート設備新設工事」の発注手続きも進み、20年度第4四半期に着工する見通しだ。水海川の導水トンネルも2期工事が始まったことに加え、21年度からは分水堰の工事に取りかかる。

 三重県伊賀市の川上ダムでは、大林組・佐藤工業・日本国土開発JVによる堤体の築造が進んでいる。5月には打設20万m3を超え、近く30万m3に到達する見込み。22年度末の完成に向け、20年度は本体建設工事のほか、取水放流設備工事や常用洪水吐き設備工事、管理用水力発電設備工事、流入バイパス建設工事、管理棟新築工事、電源設備工事などを進める。今後はCCTVや観測設備、通信設備などの設備工事を発注する予定だ。

川上ダム


 21年度末の完成を見据える天ヶ瀬ダム(京都府宇治市)の再開発事業は、終盤を迎えている。7月には流入部のトンネルが貫通し、延長617m、幅23m、高さ26mの日本最大級となる水路トンネルの完成が間近だ。現在は大成建設が施工する流入部のゲート設備据付や導流部の掘削、覆工、グラウト、鹿島が施工するゲート室部の上屋建築、大林組が施工する減勢池部の掘削、管理支所の発電機・受変電設備据付を実施している。今後は上屋建築や設備工事などに移る。

 大戸川ダム(大津市)の本体建設の時期については「検討中」の段階であり、付替県道大津信楽線の整備に注力する。しかし、河川整備計画が変更されれば、本体建設が動き出す可能性もある。淀川水系沿川の府県と近畿地方整備局で構成する淀川水系関係6府県調整会議が7月に開いた会合では、大戸川ダムが建設された場合の治水効果などについて説明があった。

 河川整備計画の見直しには各府県の了承が必要だが、府県からは現計画の目標見直しを求める声や現計画に記載されているものの、事業内容を追加する必要性など、気候変動への対応と危機管理対応能力の向上を求める意見が多かった。会合を受け、府県は検討に移り、10月以降に次回会議を開く。

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