【全国初の事例に挑む】神戸三宮駅前交通ターミナル整備設計に長大が提案したものとは? | 建設通信新聞Digital

5月4日 土曜日

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【全国初の事例に挑む】神戸三宮駅前交通ターミナル整備設計に長大が提案したものとは?

近畿地方整備局兵庫国道事務所は、神戸市と連携して同市の三宮駅前空間の再整備に取り組んでおり、「神戸三宮駅交通ターミナル整備設計業務」を長大・日本みち研究所JVに委託している。過去の業務実績に加え、コンセッション事業での利用者の利便性と運営する民間事業者の経営のバランスを取った提案が高く評価された。全国初の再開発ビルと一体的に整備するバスタプロジェクトを関係機関と一丸となって推進する。

左から小川氏、藤原氏、河内氏、藤井氏

長大は名前のとおり、長大橋の設計業務をルーツに、道路・交通、環境、PFI事業など幅広い分野の実績を数多く持つ総合建設コンサルタント企業だ。近年は参加したプロポーザルの特定率が35~40%で推移しており、特に渋滞対策や交通安全対策などの交通分野業務では50%と高水準を維持している。

再整備事業では、歩行者優先空間である三宮クロススクエアの整備や再開発ビルの建設など複数の事業が計画されている。今回の業務では、立体道路制度を活用し、再開発ビルの1~3階に整備される高速バスターミナルの検討や管理運営手法検討、隣接する国道2号の道路概略設計などを担当する。

国交省が進める官民連携のバスターミナル事業のバスタプロジェクトは始まったばかりで、供用しているのは「バスタ新宿」のみだ。さらに、市街地再開発事業のもとで立体道路制度を活用し、再開発ビルと一体となったバスターミナルは今回の事業が全国でも初めてで「手探りの状況だが、今後を考えると大きなメリットとなる」と長大大阪支社第2計画事業部第4計画部の河内朗マネージャーは語る。

5月に成立した「道路法等の一部を改正する法律」では、バスターミナルなどの停留施設を道路付属物として扱うとともに、民間事業者が運営することができるようになった。つまり、今回の事業がコンセッション(公共施設等運営権)方式によるバスターミナル運営の先行事例となる。

長大大阪支社内では、都市計画や道路設計、交通、建築、PPP・PFIなどの多くの知識がいることからさまざまな分野の担当者8人体制で臨んだ。担当者がほぼ同じフロアで勤務しているため、コミュニケーションもとりやすく、各々の専門分野の知識・経験を生かしやすい環境が「総合建設コンサルタント企業としての強みだ」と小川二郎執行役員西日本統轄部長兼大阪支社長は力を込める。さらに「(バスタ新宿の事業に携わった実績のある)日本みち研究所とJVを組めたことが大きかった」(河内マネージャー)と振り返る。

実際の提案はコンセッション方式のターミナル運営が鍵となり「ターミナル以外にも待合いスペースの広さなど利用者の利便性に加え、公共性の高い事業にどうやって民間活力を導入するかについて検討を重ねた」(藤井豊まちづくり事業部PPP推進部副技師長)。全国に先駆けて実施する事業だけに「制度についても細かな部分が決まっていない中、手探りで臨まなければならなかった」(河内マネージャー)と苦労を明かす。

業務を進めるに当たり「使いやすいバスターミナルにできるよう、限られたスペースを生かし、いかに最適なものを生み出せるかを追求し、バス事業者など多くの関係機関と対話しながら三宮・神戸の顔にふさわしいものをつくりたい」と意気込み、第4計画部の藤原磨名夢氏も「多くの機関・関係者と関わることができ、大きな経験になる。利用者の立場に立った検討を進める」と決意を示す。

バスターミナルのイメージ

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