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【厳重な安全管理で邁進】鉄建建設の阪和自動車道工事 供用線が隣接する中での作業に迫る

 阪和自動車道青垣内山トンネル工事は、印南町南谷~印南原間の3703mを施工するもので、828mがトンネル区間、2875mが土工区間となっている。

中央分離帯の撤去は通行車両が行き交う中で進行した


 起点の和歌山方では4車線化後の上り線側を施工するが、トンネル区間の手前の約1.4㎞にわたる中央分離帯の築堤盛土設置区間からは下り線側の施工へと切り替わる。今回の工事には、この築堤盛土を撤去し路床を仕上げる作業も含まれている。青垣内山作業所の赤塚学所長は「いつ通るかわからない一般車両に注意しながら1期線に絶対に影響を与えないように作業する必要がある」ことがこの工事の難しい点だと話す。

 特に、接触事故の防止や掘削土の供用線への飛散防止など安全管理には厳重に取り組んでいる。準備段階の架設防護柵の設置は夜間作業で実施した。現場の様子はカメラで遠隔からでもリアルタイムで確認できるようにしており、工事車両の搬出入には、交通誘導員による前方監視に加えて、工事車両1台ごとに一般車の走行速度を抑えるための誘導車を1台走行させて安全を確保している。

 トンネル部は、NATMによる補助ベンチ付き全断面掘削工法で掘削し、9月9日に無事貫通を迎えた。現在は覆工作業に取り組んでいる。

供用線(左)の隣に新たなトンネルが貫通


 掘削時に課題となったのは、掘削開始側の南坑口から130m付近でトンネル上の土被りが6m程度しかなく軟弱な崖錐堆積物の分布が想定されるみかん畑横の沢部を通過することだった。1期線施工時には20cm程度の沈下が生じており、今回の工事では同様の事態がないよう発注された。

 対策としては、補助工法として注入式長尺鋼管先受工法(AGF工法)が選択された。試掘で、想定よりも崖錐堆積物が広く分布し、トンネル切羽前方の地表面に沈下傾向が見られたため、先受け工の施工ピッチを9mから6mに変更。この結果、地表面沈下を2cm以下に抑えて難所を通過できた。

 供用中のトンネル側から1期線施工時に掘られた避難連絡坑の断面拡幅も課題となった。供用線側への影響を監視するための計測器や防護工は夜間通行止めの間に設置し、掘削時にはリアルタイムで発破振動を計測。結果を施工にフィードバックさせながら施工方法を切り替え、振動を管理基準値以下に抑えた。

 現在の工事進捗率は8割程度。赤塚所長は「『お客さま第一』で一般車両に影響を与えないことに留意し、無事故・無災害を継続して工事を完遂したい」と気を引き締める。

赤塚所長(右)と高橋幹夫監理技術者


 終盤に向かいつつある青垣内山トンネルに対して、「阪和自動車道北塩屋高架橋(PC上部工)工事」は今まさに工事本番を迎えたところだ。同工事は御坊市塩谷町北塩屋から印南町南谷にかけて、長さ432mのPRC11径間連続橋を架設する。構造形式は箱桁3径間と2主版桁8径間で、国道425号、王子川、町道と立体交差する。

白浜方から先行して施工が始まった北塩屋高架橋


 現場は前段階の下部工に遅れが生じており、一方で開通時期は決まってることから短い工期の中でいかに効率よく工事を進めるかが問われている。工期短縮の工夫としては、2主版桁の2径間一括施工やPCケーブルの高強度化、壁高欄や延長床版など部材のプレキャスト化が計画されている。

 工事は7月に着手し、先に下部工が引き渡された白浜方から支保工や型枠の施工が始まっている。和歌山方も、引きわたされ次第、施工を開始し、両方向から同時に工事を進めていく予定だ。

 現在の進捗率は4.8%。北塩屋作業所で現場代理人を務める小林学次長は「すぐ隣の供用線には絶対に迷惑をかけることのないよう、工期を守り無事故で良いものをつくりたい」と語る。

 また同現場には、「北陸新幹線日野川橋りょうPC上部工工事」を始め鉄建建設の多くの工事で橋梁上部工を担っている鮎活(長野県飯田市、佐藤幸一社長)が1次下請けとして入っている。同社の芥川文教工事部長は「上手く人員を配置して、けがのないよう安全にやり遂げたい」と意気込みを述べた。

小林現場代理人(右)と芥川工事部長

*写真撮影時のみマスクを外していただきました

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