【小さな建機に大きな思い込めて/トミカで不動の人気はブルドーザー】タカラトミー安氏インタビュー | 建設通信新聞Digital

5月14日 火曜日

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【小さな建機に大きな思い込めて/トミカで不動の人気はブルドーザー】タカラトミー安氏インタビュー


 発売から約半世紀にわたり子どもたちに愛され続けているダイキャスト製ミニカー「トミカ」。タカラトミーはこれまで1080車種以上、6億9000万台を世に送り出した(2021年4月時点)。とりわけ建機モデルはこれまで約60車種を販売し、近年の販売台数は右肩上がりで推移している。発売以来の国内出荷実績では、コマツのブルドーザーが2位にランクインするなど高い人気を誇る。「いつの時代にあっても、子どもたちの建機への憧れは強い」と語るトミカマーケティング部主任の安栄治氏に、商品開発にかける思いを聞いた。

 トミカが発売されたのは、高度経済成長期の1970年。ミニカーといえば大型で、外国車をモデルにした海外のダイキャスト製ミニカーが人気を博していた当時、「子どもたちに国産車のミニカーで遊んでほしい」と当時の富山允就社長が販売を開始した。実際に街を走っている車をモデルに、手のひらサイズで手ごろな価格がヒットした。新型車やトレンドも随時取り入れながら、20年には発売50周年を迎えた。いまや2秒に1台のペースで売れ、多くの子どもたち(19年4月時点で3、4歳の男の子の80%以上)が持つロングセラーブランドに成長した。

 同社はこれまで、クレーン11種、ショベル12種、ダンプカー16種、ホイールローダー4種、ブルドーザー6種、ロードローダー(タイヤローラー)5種など合計で約60種の建機モデルを市場に投入した。このうち発売から19年末までの国内出荷実績ベースで首位に立ったのは消防車(407万台)だが、2位にコマツのブルドーザー「D155AX-6」(308万台)、4位に古河機械金属のホイールローダー(207万台)がランクイン。「子どもだけでなく建設現場に携わる職人が買っていくことも多いと聞いている。最近ではわが子のトミカを買いに来た“ついで買い”として、往年の名車をモデルにした大人向けのトミカシリーズ『トミカプレミアム』を買う大人も増えた」という。

 歴代製品を振り返ると、新しくなるほどより精巧に作られているものの、ターゲットは「いまも昔も子どもたち」に変わりない。だからこそ、開発に当たっては「ショベルカー、ダンプカーと買い集めて楽しくなるような幅広いラインアップを大切にしている」

 特に安全性にはこだわっている。例えば「細かな部品が突き刺さらないように」との配慮から、一貫してサイドミラーは付けない。基本的には経年劣化しにくい亜鉛合金を使うが、ショベルのアーム部にはプラスチック素材を採用している。可動部を作り楽しさを提供するとともに、「踏んでしまっても負荷を逃がしケガを防ぐ」工夫も凝らす。先端のバゲットは「あえてフォルムに丸みをもたせている」とも。価格を1台495円(税込み)に抑えながら、設計、生産の担当者も交えて「どこまで再現できるかを模索し続けている」


◆力強い建機が原点

 商品開発のヒントは、息子と過ごす休日の散歩からも得ている。歩道橋の上から車を眺めたり、建機をバックに写真を撮ったりと働く車の生の姿に触れるようにしている。自身が幼いころは「建設現場を眺めると、間近に見える建機が力強くて格好良かった」と原点の思いを語る。「最近では仮囲いが頑丈になり、間近で見られる機会が少なくなった。だからこそ、建機に出会えたときの興奮と感動は大きい。少子化が加速する中でも、それが(トミカの好調な需要にも)結びついているのではないか」と感じている。
 今後は建設機械の自動・電動化がさらに加速し、建機の外観が変わっていくことも予想される。「できる限り忠実に再現して伝える」ことを使命に商品開発を進めていく。

タカラトミーの安氏




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