【スマート調光ガラス】透明からダークグレーまで3分で変化! キネストラル・テクノロジー社の『ヘイリオ』 | 建設通信新聞Digital

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【スマート調光ガラス】透明からダークグレーまで3分で変化! キネストラル・テクノロジー社の『ヘイリオ』

オフィスビルエントランスの ロビー適用例

 米国ベンチャー企業のキネストラル・テクノロジー社(カリフォルニア州)が、今夏から、日本市場向けにスマート調光ガラス『ヘイリオ』の販売を本格的に始める。光量を自由に調整し、光を通すクリアカラーから、中間色のグレイ、プライバシーを守るダークグレーまで、自在にトーンを調整できる。色を変えたい時には、タブレットやスマートフォンだけでなく音声でも操作できる。日中の天候や太陽の位置に反応し、自動で色調を変えることも可能だ。
 「米国ではスマート調光ガラス市場は急激に成長している」と、同社のS・B・チャーCEOは話す。ヘイリオは旭硝子との共同開発で、2016年11月に米国、欧州、中国でも販売を開始した。まだ新しいテクノロジーだが、自国では5000億円規模のマーケットを見込んでいる。
 最大の特徴は、シンプルな空間づくりができることだ。ブラインドやカーテンで視界を遮らなくても、必要なときだけプライバシーが確保できる。「シンプルさ、美しさ、快適さの実現にこだわった。日本人の感性にも合っているはずだ。建築家には新しい発想を提案できるチャンスになる。東京五輪の関連施設、首都圏のオフィスビル外装や会議室のパーティションにも勧めたい」
 開発では、ブラインドと遜色ないスピードでの色変を実現するため、透明な状態から3分以内にダークグレーに色が変わるよう開発に注力した。TCO(電導)ガラスの間にメタルオキサイドの電極とイオン導体を挟み、通電するとイオンが片側の電極に移動して変色する。消費電力についても、色変停止後の電力は不要となり、色の濃淡に関係なく99.9%の紫外線を吸収する。濃い状態のときには熱も遮断できるほか、オプションで防音効果も追加できる。
 「ダークグレーは心と体に優しい色だ」とも。休憩スペースでの利用も想定し、睡眠を専門とする科学者と連携して外の気配がうっすらと感じられる程度の夜空のような色合いを作り出した。これまでの調光ガラスは黄色味や曇りがあったが、ガラス窓と変わらない透明感を再現した。
 同社の創立は10年。米国のスマート調光ガラスの製造会社では3番手で、最も若い。現在はカリフォルニア州のヘイワードで縦1.3m、横0.8mまでの製品を生産しているが、来夏には台湾に大量生産ラインが完成し、縦1.5m、横3.1mまでの大判製品の輸出が始まる。「5年後には窓と自動ブラインドを購入するのと同程度の価格にしたい」。勝負はこれからだ。

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