日本建設業連合会(宮本洋一会長)は、初めて実施した民間工事の支払い条件に関する実態調査の結果をまとめた。全体平均では、請負代金の約4割は引き渡し後に支払われ、このうちの約1割は引き渡し後60日超の期間を要していた。請負代金の100%が引き渡しから150日超経過して支払われるなど、著しく遅いケースも散見され、それらは特に不動産業で目立ったという。元下間の支払い条件の規制が強化される一方、受発注者間は旧来のままに環境改善が進んでいない。日建連は、適正な労務費の行き渡りや価格転嫁の実施なども見据えつつ、サプライチェーンの出発点である発注者の早期支払い実現に向けて、国土交通省などへの働き掛けを強める方針だ。 3月に行った下請取引適正化自主行動計画の改定に合わせて、民間発注者の支払い条件を調べた。調査対象は、2023年11月から24年10月までに竣工した請負金額50億円以上の民間工事など。契約時、中間時点、引き渡し時、引き渡し後60日以内、同60日超の各時点における支払い状況(現金ベース、手形は満期のタイミング)について、請負金額に対する割合で回答を求めた。また、特に問題のある実例も聞いた。140社中74社が答えた。
17日の理事会に報告した調査結果によると、契約時の支払いは8.6%と1割に満たなかった一方、引き渡し後60日以内が27.8%、同60日超が11.2%を占め、竣工引き渡しを終えてから一定期間経過後の支払いが約4割に上った。
業種別に見ると、最もボリュームの大きい不動産業は、約5割が引き渡し後に支払われ、このうちの約2割は引き渡し後60日を超えていた。半導体施設などを発注する電気機械工業は、3割強が引き渡し後60日超での支払いとなっている。
支払いが著しく遅い事例としては、請負金額の100%が引き渡し後150日超を過ぎて支払われるケースや、契約時に10%・引き渡し後120日超に90%が支払われるケースなどが、それぞれ複数件報告された。工事件数自体の多さもあるが、不動産業の発注案件で厳しい条件が目立つという。
近年、手形サイトが短縮され、26年をめどに手形を廃止する政府方針も示されるなど、元請け企業から下請け企業への支払いの規制が強化されている。日建連会員のゼネコンでは、下請け代金を出来高に応じて毎月支払っている企業が多く、現金払いも増えているという。
一方、支払いに関して特段、法律上の規制がない民間発注者と受注者の間には、旧来の商慣行が根強く残っている。資材価格の高騰や人件費の上昇などで工事価格が上がり、金利も上昇局面に入る中、元請けによる立て替え負担が増してきている。そもそも建設業は、扱う金額自体が大きく、下請けの数も多いといった特有の性質を持つ。
日建連は3月下旬、国交省に対し、竣工まで一切支払いがないケースもあるなどと現状を説き、制度改正を含め、民間工事の支払い条件改善などを要望した。その一方で、今回の実態調査結果を踏まえ、業界側のさらなる自助努力が必要との指摘もある。「請け負け」と揶揄(やゆ)されるほどの発注者の立場の強さはあるものの、著しく厳しい支払い条件も、基本的には契約時に双方合意で決まっている。業界関係者は「受注者としても適切な支払い条件での契約締結に向け、発注者と粘り強く交渉する必要がある」としている。
17日の理事会に報告した調査結果によると、契約時の支払いは8.6%と1割に満たなかった一方、引き渡し後60日以内が27.8%、同60日超が11.2%を占め、竣工引き渡しを終えてから一定期間経過後の支払いが約4割に上った。
業種別に見ると、最もボリュームの大きい不動産業は、約5割が引き渡し後に支払われ、このうちの約2割は引き渡し後60日を超えていた。半導体施設などを発注する電気機械工業は、3割強が引き渡し後60日超での支払いとなっている。
支払いが著しく遅い事例としては、請負金額の100%が引き渡し後150日超を過ぎて支払われるケースや、契約時に10%・引き渡し後120日超に90%が支払われるケースなどが、それぞれ複数件報告された。工事件数自体の多さもあるが、不動産業の発注案件で厳しい条件が目立つという。
近年、手形サイトが短縮され、26年をめどに手形を廃止する政府方針も示されるなど、元請け企業から下請け企業への支払いの規制が強化されている。日建連会員のゼネコンでは、下請け代金を出来高に応じて毎月支払っている企業が多く、現金払いも増えているという。
一方、支払いに関して特段、法律上の規制がない民間発注者と受注者の間には、旧来の商慣行が根強く残っている。資材価格の高騰や人件費の上昇などで工事価格が上がり、金利も上昇局面に入る中、元請けによる立て替え負担が増してきている。そもそも建設業は、扱う金額自体が大きく、下請けの数も多いといった特有の性質を持つ。
日建連は3月下旬、国交省に対し、竣工まで一切支払いがないケースもあるなどと現状を説き、制度改正を含め、民間工事の支払い条件改善などを要望した。その一方で、今回の実態調査結果を踏まえ、業界側のさらなる自助努力が必要との指摘もある。「請け負け」と揶揄(やゆ)されるほどの発注者の立場の強さはあるものの、著しく厳しい支払い条件も、基本的には契約時に双方合意で決まっている。業界関係者は「受注者としても適切な支払い条件での契約締結に向け、発注者と粘り強く交渉する必要がある」としている。