日本建築学会の第59代会長に就任した小野田泰明東北大教授が13日、東京都港区の建築会館で就任会見し、今後の学会運営の方向性を語った=写真。少子高齢化や気候変動、物価高騰など、社会が大きく揺らぐ時代だからこそ、「場所や空間を創造する建築は、社会の新しい形を描く出発点になり得る」と強調。学会を“知の共有・発信基盤”として再定義し、国際発信力や次世代育成の強化に取り組む姿勢を示した。
「当学会には価値ある財産がありながら、多くが眠ったままだ。これらを掘り起こして世界の中で日本の建築の存在感や価値を高めたい」と抱負を述べた。
具体的には、これまで学会に蓄積されてきた研究・活動成果などを整理し、「英語化やパッケージ化を通じて海外へ発信する体制づくりを進めていく」と表明した。
また、就職活動の早期化によって研究の継続が困難になる学生の現状にも触れ、「基礎力を磨く時間を確保することが、将来につながる」と強調。教育機関と産業界が連携し、安心して学び続けられる環境づくりを進めるとした。
MOU(戦略的提携)を結んでいる土木学会との連携には「建築と土木が共同で災害に備えることが不可欠な時代だ」とし、「防災に関する共通言語の構築が進んでいる」として、さらに踏み込んだ連携への意欲を示した。
このほか、施工人材の確保や教育機関のデジタル化にも触れ、人口や資金のある都市部だけでなく、地方教育機関などの支援にも取り組む考えを明らかにした。
小野田会長とともに就任した新任の副会長は3人。学術レビュー・支部担当の五十田博氏(京大生存圏研究所教授)は「140年近い歴史ある学会として、これまでの蓄積を尊重しながら、会長と密に対話を重ねて柔軟な運営を図っていきたい」と語った。
学会の情報発信について、学術・教育推進担当の楠浩一氏(東大地震研究所副所長)は「日本の高い技術と建築文化を積極的に発信していきたい。また、新しい社会課題に対する迅速な提案に向け、建築に関わるあらゆる分野の知識が集まった第三者機関としての立場を生かした備えが必要だ」と、機動力ある知の活用体制にも言及した。
「インフラのつくり手として新しい知見の社会実装を強く意識している」と語った社会ニーズ対応・普及啓発担当の藤本裕之氏(清水建設常務執行役員設計本部長)は、「建築や地域づくりの現場は大きな環境変化に直面している」とした上で、「現場の実務と学術成果を橋渡しする方策を探ることが、自分の役割だ」と抱負を語った。
新任の正副会長の任期は2年。議論にとどまらず実行へ移す「筋肉質の体制」で、会館改修や事務局業務の効率化、新たな財源確保など、組織の強化にも着手する構えだ。
「当学会には価値ある財産がありながら、多くが眠ったままだ。これらを掘り起こして世界の中で日本の建築の存在感や価値を高めたい」と抱負を述べた。
具体的には、これまで学会に蓄積されてきた研究・活動成果などを整理し、「英語化やパッケージ化を通じて海外へ発信する体制づくりを進めていく」と表明した。
また、就職活動の早期化によって研究の継続が困難になる学生の現状にも触れ、「基礎力を磨く時間を確保することが、将来につながる」と強調。教育機関と産業界が連携し、安心して学び続けられる環境づくりを進めるとした。
MOU(戦略的提携)を結んでいる土木学会との連携には「建築と土木が共同で災害に備えることが不可欠な時代だ」とし、「防災に関する共通言語の構築が進んでいる」として、さらに踏み込んだ連携への意欲を示した。
このほか、施工人材の確保や教育機関のデジタル化にも触れ、人口や資金のある都市部だけでなく、地方教育機関などの支援にも取り組む考えを明らかにした。
小野田会長とともに就任した新任の副会長は3人。学術レビュー・支部担当の五十田博氏(京大生存圏研究所教授)は「140年近い歴史ある学会として、これまでの蓄積を尊重しながら、会長と密に対話を重ねて柔軟な運営を図っていきたい」と語った。
学会の情報発信について、学術・教育推進担当の楠浩一氏(東大地震研究所副所長)は「日本の高い技術と建築文化を積極的に発信していきたい。また、新しい社会課題に対する迅速な提案に向け、建築に関わるあらゆる分野の知識が集まった第三者機関としての立場を生かした備えが必要だ」と、機動力ある知の活用体制にも言及した。
「インフラのつくり手として新しい知見の社会実装を強く意識している」と語った社会ニーズ対応・普及啓発担当の藤本裕之氏(清水建設常務執行役員設計本部長)は、「建築や地域づくりの現場は大きな環境変化に直面している」とした上で、「現場の実務と学術成果を橋渡しする方策を探ることが、自分の役割だ」と抱負を語った。
新任の正副会長の任期は2年。議論にとどまらず実行へ移す「筋肉質の体制」で、会館改修や事務局業務の効率化、新たな財源確保など、組織の強化にも着手する構えだ。