【建造進む敷設船、参入へ戦略は?/実績残し存在感発揮】
東洋建設は、成長ドライバーに位置付ける洋上風力事業の具体化に向け、洋上風力事業本部の傘下にプロジェクト推進部を新設した。現在、建造を進めている国内最大級の自航式ケーブル敷設船を武器に、2027年から開始が見込まれる個別プロジェクトへの参入を主導する役割を担う。「現在実施中の海底ケーブル埋設実証実験を通じてエンジニアリングを強化し、より確実な施工サービスを提供する。ケーブル敷設船と共にいち早く実績を積んでいくことが重要となる」と語る北畑貴史部長に具体化に向けた戦略を聞いた。 国内の洋上風力市場の現状に対しては「資材の高騰や為替など地政学リスクを受けることを含めて、他の電源と比べるといまだコスト面で難しさがある」と冷静に分析する。一方で、「カーボンニュートラル(CN)の潮流はなくなることはない。低コスト化を推進しつつ、普及していかなければならない」と見通す。
そうした環境下で、一般海域での具体的なプロジェクトが迫りつつある。 「これまではケーブル敷設工事を主として全般的な検討や技術取得を進めてきたが、今後はそれぞれの事業の開始時期や気象条件など、 個別の状況に合わせたより具体的な検討が必要になる」 とプロジェクト推進部が始動した意図を説明する。
「洋上風力に限らず、建設事業では実績が重視される。大規模な船舶による施工や大掛かりな海底ケーブルの敷設といったトータルの経験を持つ企業が少ない中で、ロールモデルになるような実績を残す第一歩の意義は大きい。われわれのアセット(資産)であるケーブル敷設船を活用した最適な施工方法を提案し、工期の確実性を高めるなど顧客に寄り添って安心感を提供したい」と意気込む。
ケーブル敷設工事だけでなく、関連する港湾整備などの土木工事では土木事業本部との連携を図り対応する。「一般海域の場合は地域貢献が重要な要素だと認識している。全国に支店、営業所のあるマリコンの強みを生かして地元のステークホルダーとの関係構築にも貢献していきたい」と展望する。
プロジェクト推進部のメンバーは、北畑部長を含め在籍する7人のうち、4人が外国人だ。年齢構成は20-40代と比較的若いメンバーが多く、「書類や社外ミーティングなどは大部分で英語を使用する。垣根なく活発に議論できる環境を整え、一人ひとりが成長できるよう日常のコミュニケーションを心掛けている。次世代のエンジニアの在り方を考えながら運営している」との考えを示す。
今後については「現在は目の前にあるプロジェクトを確実に成功させる段階へと移行している」と言い切る。「より良い建設サービスを提供することで洋上風力の発展に貢献し、CN実現の一助として当社が存在感を発揮すべく新しいチームを率いていく」と不退転の決意で臨む。
* *
(きたはた・たかし)1997年3月京大工学部土木工学科卒後、同年4月東洋建設入社。海上工事を中心に国内外の現場に従事し、2024年4月洋上風力事業本部企画営業部長、25年4月から現職。「生まれてこの方、ずっと釣り好き」と言い切り、マリコンである東洋建設を志望したのも釣りと海好きが高じてとのこと。今でも海の近くに居を構え、公私ともにどっぷり海につかる。和歌山県出身。73年7月10日生まれ、51歳。
東洋建設は、成長ドライバーに位置付ける洋上風力事業の具体化に向け、洋上風力事業本部の傘下にプロジェクト推進部を新設した。現在、建造を進めている国内最大級の自航式ケーブル敷設船を武器に、2027年から開始が見込まれる個別プロジェクトへの参入を主導する役割を担う。「現在実施中の海底ケーブル埋設実証実験を通じてエンジニアリングを強化し、より確実な施工サービスを提供する。ケーブル敷設船と共にいち早く実績を積んでいくことが重要となる」と語る北畑貴史部長に具体化に向けた戦略を聞いた。 国内の洋上風力市場の現状に対しては「資材の高騰や為替など地政学リスクを受けることを含めて、他の電源と比べるといまだコスト面で難しさがある」と冷静に分析する。一方で、「カーボンニュートラル(CN)の潮流はなくなることはない。低コスト化を推進しつつ、普及していかなければならない」と見通す。
そうした環境下で、一般海域での具体的なプロジェクトが迫りつつある。 「これまではケーブル敷設工事を主として全般的な検討や技術取得を進めてきたが、今後はそれぞれの事業の開始時期や気象条件など、 個別の状況に合わせたより具体的な検討が必要になる」 とプロジェクト推進部が始動した意図を説明する。
「洋上風力に限らず、建設事業では実績が重視される。大規模な船舶による施工や大掛かりな海底ケーブルの敷設といったトータルの経験を持つ企業が少ない中で、ロールモデルになるような実績を残す第一歩の意義は大きい。われわれのアセット(資産)であるケーブル敷設船を活用した最適な施工方法を提案し、工期の確実性を高めるなど顧客に寄り添って安心感を提供したい」と意気込む。
ケーブル敷設工事だけでなく、関連する港湾整備などの土木工事では土木事業本部との連携を図り対応する。「一般海域の場合は地域貢献が重要な要素だと認識している。全国に支店、営業所のあるマリコンの強みを生かして地元のステークホルダーとの関係構築にも貢献していきたい」と展望する。
プロジェクト推進部のメンバーは、北畑部長を含め在籍する7人のうち、4人が外国人だ。年齢構成は20-40代と比較的若いメンバーが多く、「書類や社外ミーティングなどは大部分で英語を使用する。垣根なく活発に議論できる環境を整え、一人ひとりが成長できるよう日常のコミュニケーションを心掛けている。次世代のエンジニアの在り方を考えながら運営している」との考えを示す。
今後については「現在は目の前にあるプロジェクトを確実に成功させる段階へと移行している」と言い切る。「より良い建設サービスを提供することで洋上風力の発展に貢献し、CN実現の一助として当社が存在感を発揮すべく新しいチームを率いていく」と不退転の決意で臨む。
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(きたはた・たかし)1997年3月京大工学部土木工学科卒後、同年4月東洋建設入社。海上工事を中心に国内外の現場に従事し、2024年4月洋上風力事業本部企画営業部長、25年4月から現職。「生まれてこの方、ずっと釣り好き」と言い切り、マリコンである東洋建設を志望したのも釣りと海好きが高じてとのこと。今でも海の近くに居を構え、公私ともにどっぷり海につかる。和歌山県出身。73年7月10日生まれ、51歳。