府中日鋼団地管理組合/建替組合を年内設立/敷地南側に2棟延べ7.4万㎡ | 建設通信新聞Digital

7月26日 土曜日

関東・甲信越

府中日鋼団地管理組合/建替組合を年内設立/敷地南側に2棟延べ7.4万㎡

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 東京都府中市の府中日鋼団地管理組合(藤原康雄理事長)は、同団地の建て替えに向けて、2025年内の建替組合設立総会開催を予定している。3月30日の臨時総会で建て替え決議が成立したことを受けたもので、事業協力者には長谷工コーポレーションが参画し、コンサルティング、設計、事業推進を担っている。老朽化した既存32棟702戸のうち、敷地南側の1-13号棟を解体し、新たにRC造14階建て2棟総延べ7万4156㎡、戸数830戸の共同住宅を建設する計画だ。 今回の建て替え決議について、藤原理事長は「702世帯32棟という大規模な権利者数、府中市一といわれる高齢者の多さ、そして10年前の計画で提示された負担額と比較してしまうという『三つの壁』があり、日本一難しい団地建て替えといわれてきた」と、10年以上にわたる道のりを振り返る。
 事業化の最大の障壁となったのは、建設費高騰による組合員の負担額増加だ。14年に三井不動産レジデンシャルJVが提案した計画時の負担金が1世帯当たり500万円程度だったのに対し、今回は倍以上に上る。藤原理事長は「他の団地では最初から建築費高騰後の負担金を前提に話が進むが、過去の数字と比較してなぜ今、倍以上出さなければならないのかという思いがある。この過去の数字と比較する心理的なハードルが、合意形成をより難しくさせた」とその特殊な事情を語る。
 こうした状況下でも決議に踏み切った背景には、組合員の切迫した思いがあったという。改正区分所有法の成立を待つ選択肢もあったが、「裏金問題で国会審議が停滞し、いつ成立するか分からなかった。10年以上かかっている計画で、これ以上待てなかった。皆のモチベーションがぎりぎりの状態だった」と藤原理事長は明かす。
 団地北側の14-32号棟の既存建物を仮住まいに利用するという画期的な手法に加え、藤原理事長は「ラジオ体操やカレーを振る舞う会など日頃からの地道な活動、多くの女性陣の対話活動、老人会の協力を通じて、702世帯のコミュニティーを醸成し、困難な状況下での結束力を高めたこと」が決議の成功につながったという。
 同管理組合は今後、建て替え同意書を府中市に提出し、組合設立の承認手続きを進める予定だ。