建設技術者の将来人数の地域別集計
出典:総務省「国勢調査(オーダーメード集計)」を基に建設経済研究所が予測、作成
*下表の「全国」は「北海道」から「九州」までの合計値を表す
技能労働者の将来予測の地域別集計
出典:総務省「国勢調査(オーダーメード集計)」を基に建設経済研究所が予測、作成
*下表の「全国」は「北海道」から「九州」までの合計値を表す
建設投資の中長期予測と建設投資可能額の比較
出展:建設経済研究所が作成
【35年度時点で10兆-15兆円押し下げ】
建設経済研究所が、『建設経済レポートNo.77』の中で発表した「建設業従事者数の将来人数推計と需給ギャップ分析」によると、2035年の人数を20年と比較したところ、建設技術者は全国計で1割超の増加という推計結果が出た一方、技能労働者は2割超の減少となるとともに、全ての都道府県で減る見込みとなった。また、前年度に推計した建設投資額の中長期予測と比べたところ、技能労働者の人手不足によって、35年度時点で建設投資額が10兆-15兆円程度押し下げられる可能性が判明した。技能者の減少が、需要を縮めることが懸念される。 35年の将来人数推計によると、建設技術者は20年比13.8%増の27万1932人。都市部は増加が見込まれ、地方の道県は減少傾向が見られる。地域別の増減率は、南関東の38.7%増が突出して高い。減少は北海道、東北、四国の3地域で、いずれも20%程度の減少率となっている。
肝心の技能労働者はどうか。35年時点の全国計は同21.6%減の191万9416人となり、200万人を下回る状況に陥る。技術者とは対照的に、地域別、都道府県別ともに全てが減少となっている。地域別の減少率は、東北の32.9%が最大で、北海道が28.0%、四国が24.3%、北関東・甲信が23.3%、東海が23.0%、近畿が22.7%など。市場規模の大きい南関東も18.5%となっている。
35年度時点での都道府県別の需給ギャップ(過不足人数)推計によると、技能労働者はほぼ全ての都道府県で過不足率がマイナスとなり、供給不足が生じる。青森、岩手、秋田、新潟、山梨、三重、奈良、山口、宮崎のように、不足率が60、70%を超す県もある。
建設経済研究所は、人手不足を補うためには生産性向上が必要と叫ばれるが、それだけではいかんともし難い状況に陥るとし、隣県からの流入や新規入職者の確保、外国人労働者の受け入れなどに一層尽力する必要があると指摘している。
さらに、建設業従事者数(供給側)から建設投資可能額を推計した。建設投資可能額を「都道府県別技能労働者数×20年度の技能労働者1人当たり建設投資額」と定義し、30、35年度時点を都道府県別に算出。県別を合計することで、全国の建設投資可能額とした。
建設投資額の中長期予測は、「成長実現ケース」では30年度に63兆1000億円、35年度に61兆1000億円、「ベースラインケース」では30年度に58兆9000億円、35年度に55兆6000億円と試算している。
供給側から今回推計した建設投資可能額は、30年度に49兆6000億円、35年度に45兆4000億円となった。35年度時点で比較すると、成長実現ケースとは15兆6000億円、ベースラインケースとは10.2兆円の乖離(かいり)があった。
建設投資可能額は、20年度時点の生産性が横ばいで推移するという前提のため、実際には生産性向上により乖離幅は縮小するとみられる。それでも35年度で比較すると、ベースラインケースまで回復するには20年度比で約22%、成長実現ケースまで回復には約34%の生産性向上が求められる。仮に生産性向上がなされず、推計どおりに技能労働者が減少すれば、建設投資額が実質値ベースで10兆-15兆円ほど押し下げられることになる。
内閣府データを基に、雇用者1人が1時間に生み出す生産額を産業別に見ると、建設業の生産額は00年が3565円、23年が3942円で、20年余りでわずか377円(10.6%)しか上昇していない。過去20年で10%程度の上昇だった生産性を、これからの20年で1.5倍に高めることが必要となる。この水準は、過去20年の製造業の上昇率とほぼ一致する。単品受注生産の建設業が、大量生産を基本とする製造業と同等の生産性向上を達成しなければならない。
出典:総務省「国勢調査(オーダーメード集計)」を基に建設経済研究所が予測、作成
*下表の「全国」は「北海道」から「九州」までの合計値を表す
出典:建設経済研究所が作成
建設経済研究所が、『建設経済レポートNo.77』の中で発表した「建設業従事者数の将来人数推計と需給ギャップ分析」によると、2035年の人数を20年と比較したところ、建設技術者は全国計で1割超の増加という推計結果が出た一方、技能労働者は2割超の減少となるとともに、全ての都道府県で減る見込みとなった。また、前年度に推計した建設投資額の中長期予測と比べたところ、技能労働者の人手不足によって、35年度時点で建設投資額が10兆-15兆円程度押し下げられる可能性が判明した。技能者の減少が、需要を縮めることが懸念される。 35年の将来人数推計によると、建設技術者は20年比13.8%増の27万1932人。都市部は増加が見込まれ、地方の道県は減少傾向が見られる。地域別の増減率は、南関東の38.7%増が突出して高い。減少は北海道、東北、四国の3地域で、いずれも20%程度の減少率となっている。
肝心の技能労働者はどうか。35年時点の全国計は同21.6%減の191万9416人となり、200万人を下回る状況に陥る。技術者とは対照的に、地域別、都道府県別ともに全てが減少となっている。地域別の減少率は、東北の32.9%が最大で、北海道が28.0%、四国が24.3%、北関東・甲信が23.3%、東海が23.0%、近畿が22.7%など。市場規模の大きい南関東も18.5%となっている。
35年度時点での都道府県別の需給ギャップ(過不足人数)推計によると、技能労働者はほぼ全ての都道府県で過不足率がマイナスとなり、供給不足が生じる。青森、岩手、秋田、新潟、山梨、三重、奈良、山口、宮崎のように、不足率が60、70%を超す県もある。
建設経済研究所は、人手不足を補うためには生産性向上が必要と叫ばれるが、それだけではいかんともし難い状況に陥るとし、隣県からの流入や新規入職者の確保、外国人労働者の受け入れなどに一層尽力する必要があると指摘している。
さらに、建設業従事者数(供給側)から建設投資可能額を推計した。建設投資可能額を「都道府県別技能労働者数×20年度の技能労働者1人当たり建設投資額」と定義し、30、35年度時点を都道府県別に算出。県別を合計することで、全国の建設投資可能額とした。
建設投資額の中長期予測は、「成長実現ケース」では30年度に63兆1000億円、35年度に61兆1000億円、「ベースラインケース」では30年度に58兆9000億円、35年度に55兆6000億円と試算している。
供給側から今回推計した建設投資可能額は、30年度に49兆6000億円、35年度に45兆4000億円となった。35年度時点で比較すると、成長実現ケースとは15兆6000億円、ベースラインケースとは10.2兆円の乖離(かいり)があった。
建設投資可能額は、20年度時点の生産性が横ばいで推移するという前提のため、実際には生産性向上により乖離幅は縮小するとみられる。それでも35年度で比較すると、ベースラインケースまで回復するには20年度比で約22%、成長実現ケースまで回復には約34%の生産性向上が求められる。仮に生産性向上がなされず、推計どおりに技能労働者が減少すれば、建設投資額が実質値ベースで10兆-15兆円ほど押し下げられることになる。
内閣府データを基に、雇用者1人が1時間に生み出す生産額を産業別に見ると、建設業の生産額は00年が3565円、23年が3942円で、20年余りでわずか377円(10.6%)しか上昇していない。過去20年で10%程度の上昇だった生産性を、これからの20年で1.5倍に高めることが必要となる。この水準は、過去20年の製造業の上昇率とほぼ一致する。単品受注生産の建設業が、大量生産を基本とする製造業と同等の生産性向上を達成しなければならない。
出典:総務省「国勢調査(オーダーメード集計)」を基に建設経済研究所が予測、作成
*下表の「全国」は「北海道」から「九州」までの合計値を表す
出典:建設経済研究所が作成