PRC版で給電舗装/EV使用し実証、初公開/熊谷組ら | 建設通信新聞Digital

5月23日 金曜日

企業

PRC版で給電舗装/EV使用し実証、初公開/熊谷組ら

実証の様子。車体の下の白い舗装がPRC版
 熊谷組は、東京理科大学、ガイアート、ジオスターと共同で開発している電気自動車(EV)へのワイヤレス給電が可能なプレキャストコンクリート(PRC)版の実証を始めた。熊谷組つくば技術研究所内の道路に試作したPRC版を敷設し、実際のEVを使用して給電実験を進めている。21日に実験の様子を初めて公開した。 熊谷組などが開発する給電舗装は、PRC版に耐久性の高い樹脂材で覆った送電コイルを組み合わせたもの。コンクリート内部に送電コイルを埋め込んだ場合と比べて高効率な給電が可能だ。施工性も高く、舗装版は夜間工事のみで施工できる。送電装置の故障・経年劣化を想定して、送電装置のみを交換できるように設計しているため、メンテナンスが容易でライフサイクルコストを低く抑えられる。
 開発は2022年度から着手し、熊谷組は実験計画や開発全体のマネジメント、東京理科大学は電気関係、ガイアートは舗装施工、ジオスターは試験体の製造をそれぞれ担当している。
 今回の実証では給電効率が90%を超える結果を得た。実用レベルである95%の実現に向けて、PRC版の中の鉄筋の代替品としてアラミド繊維を使った給電効率の向上効果も検証している。
 開発を担当する熊谷組の千村大技術本部新技術創造センターロボットIT開発グループ課長は「脱炭素化に向けて、現実的で魅力のある技術だ。30年をターゲットとして実用化を目指していきたい」とコメントした。今後は実用を想定した大電力実験や製品化を想定した設計の見直しを進めつつ、つくば技術研究所の送迎車を利用した停車中ワイヤレス給電の試験運用などに取り組む計画だ。