消音工法 製品・施工者の認定開始/eラーニングで資格者育成/リニューアルイノベーション協会 | 建設通信新聞Digital

7月8日 火曜日

団体

消音工法 製品・施工者の認定開始/eラーニングで資格者育成/リニューアルイノベーション協会

高木会長
 建築改修工事での夜間作業をなくすことによる担い手の確保・定着や、騒音・振動・粉じんの発生に伴う建物使用制限の回避など、発注者や利用者、施工者が抱えるさまざまな社会課題の解決に挑むリニューアルイノベーション協会(高木一昌会長)は、消音標準化システムの社会実装拡大に向け、工具・製品、施工者・施工会社の認定制度の運用を開始する。施工者については、認定工法のeラーニングプラットフォームを開設し、オンライン研修を実施する。年間受講者300人以上、認定取得者200人以上を目指す。
 発生音を下げた消音工具と、工事音を漏らさない仮設消音壁を組み合わせる消音工法は、休日夜間に余儀なくされていた作業を平日昼間に実施可能とすることで、労働環境の改善とワーク・ライフ・バランスの確保を図る。40dB以下の気にならない・聞こえないレベルの消音工事を実現する。従来の職人技を標準化し、未経験者でも安全・安心して入職できる環境を整える。
 発注者サイドのメリットも大きい。利用者がいながらの改修工事を可能とし、工期短縮によるトータルコストの縮減や、工事中の売りやめなどによる施設側の営業損失抑制に寄与する。
 6月25日に都内で開いた定時総会で、高木会長は「建築費の高騰によって、建て替えたくても建て替えられない病院が全国に増えている。サイレントシステムで建物を再生することで、この困り事に貢献したい」と話した。夜間作業をなくせることについて、参加したビル管理業の担当者からは「夜間の立ち会いが不要になるのは、われわれの業界にとっても革命的だ」といった声が上がった。
 総会に報告した25年度事業計画によると、社会実装に向けて組織基盤を強化するとともに、産学官連携を促進し、学会発表や認定制度の構築を進める。東大生産技術研究所の坂本慎一教授の研究室と共同研究を行い、消音標準化システムの認定基準を定める。坂本教授は「音のせいで工事ができないとなれば、経済損失も大きい。まだ研究は始まったばかりだが、どのレベルであれば支障がないかの境目を見つけたい」と述べた。
 教育・研修活動では、全国の主要都市で講演会を年6回開催する。消音製品の認定を行うとともに、認定工法のeラーニングを通じて資格者を増やす。消音工具の改良と新製品開発も進める。
 また、不動産開発会社やゼネコン、設計会社などとの連携を強化し、各都道府県への拠点(支部)設置に取り組む。25年度末までに、正会員100社、賛助会員300社、特別会員100社、一般会員50社の参画を目指す。
 このほか、補助金関連業務や技術指導などのコンサルティング型事業を本格的に展開し、収益基盤を多様化する。広報関連では、公式サイトの月間アクセス数1万件、SNS(交流サイト)フォロワー数1万人を目標としている。6月には、アクティオが消音製品のレンタルも開始した。