インフラメンテ 点検・調査にメリハリを/異状把握へ見える化徹底/国交省有識者委で第3次提言案 | 建設通信新聞Digital

12月22日 月曜日

行政

インフラメンテ 点検・調査にメリハリを/異状把握へ見える化徹底/国交省有識者委で第3次提言案

 国土交通省は5日、「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」の第9回会合を開き、第3次提言の素案を提示した。下水道管路を含むインフラ全般のマネジメントは、点検・調査の頻度や方法を効率化するため、重点化する箇所と軽量化する箇所に分けるなどメリハリをつけた対策の推進を要請。施設管理者やメンテナンス現場の担い手には新技術導入などにより、把握すべき異状を確実に把握できる「テクニカルな見える化」を図るよう求めた。 下水道管路に関しては、化学・力学・地盤的に弱点の要素があって損傷リスクが大きい箇所や、事故が起きた際の社会的影響が大きい箇所の点検・調査の頻度を明確にし、調査を高度化するために国に基準を設けるよう求めた。一方、リスクや社会的影響が小さい箇所はスクリーニング調査や時間計画保全、事後保全などを適用するなどしてメリハリをつけることとした。
 診断結果を基に、管理者や下水道事業の担い手が必要な対策を適時に確実に判断し実施できるように、診断基準の明確化を要請。一般市民に対しても管路メンテナンスを自分事と認識し、事業負担への理解や協力を得られるように結果の見える化を進めることを提案した。
 管路の再構築については、事故時に社会的影響が大きい箇所に対して二条化などでリダンダンシー(冗長性)を確保する考えを提示した。
 インフラ全般のマネジメントについては、管理者・担い手と一般市民のそれぞれに適した見える化を図るよう求めた。管理者・担い手に対しては確実な異状の把握に向け点検・調査・診断の新技術導入やデジタル管理体制の確立を進める必要性を示した。市民には、劣化状況のマッピングなど分かりやすい情報発信を求めた。
 メンテナンスに関わる業界に対しては、高まる需要を地域に密着した持続的な産業に発展させるように「業界力」の向上に努めるべきとした。
 マネジメント自体については、点検・調査だけでなく、計画・設計・整備・修繕・改築などを含めて統合的に行う必要性を提示した。
 インフラ全般が共有材となるよう世の中全体を動かすモーメンタム(勢い)の醸成も強調し、インフラメンテナンス国民会議の活動の強化などを要請した。
 職員の確保が課題となっている地方自治体には、地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)とともに、技術系職員が「群」となって広域的に連携する「人の群マネ」を推進することを提起した。