連載・産学連携 大林組四国支店(上) | 建設通信新聞Digital

11月26日 水曜日

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連載・産学連携 大林組四国支店(上)

【徳島市立高校で出前授業】
 通称「市高(いちこう)」と呼ばれる徳島市立高校。大林組四国支店が徳島市との産学連携の一環として同校の総合的学習時間「市高レインボウプラン(IRP)」に参画してから3年目を迎えた。学校がテーマを与え、生徒は1年をかけて探究し、ディスカッションによって導き出した考えをアウトプットする。講師は同支店の若手職員が務める。IRPの取り組みを紹介するとともに、講師を務めた若手3人に鼎談(ていだん)してもらった。 同校は『自ら学び、自ら考え、判断できる生徒』の育成を目指し、総合的な探究の時間としてIRPを実施している。このうち、2年生向けの授業が「徳島innovation」だ。地元病院や銀行、四国に縁の深い企業など9社が参画している。課題解決を通じて思考力や判断力を育て、社会や企業が抱える課題に向き合うことで将来就く仕事への興味・関心を高めるのが狙い。
■支店職員が講師に
 2023年、徳島市の協力依頼をきっかけに同支店もこの取り組みに参画した。同支店職員が講師となり、生徒に対して資料作成やプレゼンテーションのコツをアドバイスする。初年度のテーマは「建設業界における人手不足の解消」。まずは建設業に対するイメージと実際に掘り下げて学んだことの“ギャップ”を知ってもらい、次にBIMやMR(複合現実)など先端技術についての講演会やグループ学習などを展開した。
 2年目は「建設業界における人手不足の解消と魅力向上策」。夏休みには当時建設中の新香川県立体育館(現あなぶきアリーナ香川)の現場でフィールドワークを実施した。特徴的な屋根構造をVR(仮想現実)で体験したほか、現場で活躍する女性社員との懇談などを実施。2学期に入ると、こうした経験や情報をまとめながら“建設業のリアル”を伝える作業が始まった。ここでも支店職員は学校に足しげく通い、時にはウェブを使って授業に参加するなどバックアップした。
 3年目に当たる25年度のテーマは「木造建築」。生徒自身が担当営業マンに扮(ふん)して、発注者に対して木造建築の採用と受注獲得に向けたプレゼンテーションを提案するユニークな内容となっている。7月には、大阪・関西万博のシンボルである大屋根リングや同社四国支店ビル6階の木質化リニューアルプロジェクト「mocmocプロジェクト」をテーマに講演会を実施した。夏休みには鳴門文化会館改修JV工事事務所などを見学し、アイデアや知見を深めた。
■業界の魅力再発見
 こうした取り組みは、同支店にとって建設業の魅力を直接伝えるチャンスであるとともに、高校生ならではの発想に触れることで固定概念を打破できる。自身の成長や建設業の魅力を再確認できるきっかけになるなどウィンウィンの効果もあるようだ。