最優秀は橋本店(高度技術)、砂子組(創意工夫)/全建・25年度技術研究発表会 | 建設通信新聞Digital

11月27日 木曜日

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最優秀は橋本店(高度技術)、砂子組(創意工夫)/全建・25年度技術研究発表会

 全国建設業協会(今井雅則会長)は21日、東京都中央区の鉄鋼会館で2025年度技術研究発表会を開いた。取り組み内容やその伝え方などを審査した結果、高度技術部門の最優秀賞に、橋本店(仙台市)の東俊洋土木部副部長が発表した「災害復旧工事における建設用3Dプリンタの活用~バーチカルスロット型魚道」を選んだ。創意工夫部門は、砂子組(北海道奈井江町)の井元俊介土木部課長がプレゼンテーションした「トラス橋の引き込み解体による撤去技術の工夫と安全管理」が最優秀賞に輝いた。 =関連2面
 開会に当たり、審査委員長を務める全建の千葉嘉春建設生産システム委員長は「発表事例は、建設業界で課題となっている生産性向上、コスト削減、品質向上などに独自に取り組んで効果を上げたものであり、発表者やその所属企業の皆さまが、日頃から建設現場で生じた課題に対して真摯(しんし)に向き合い、これまでの知識・経験を総動員して創意工夫を積み重ねてきた大きな成果である」と述べ、取り組みの横展開に期待を寄せた。
 今年は応募総数98件の中から、特に優れた11件(高度技術部門6件、創意工夫部門5件)の取り組みを選出し、審査委員会がプレゼンテーション審査を行った。最優秀賞を除く9事例には優秀賞を贈った。
 橋本店は、建設用3Dプリンターを活用し、可動堰の魚道隔壁ブロックを製作することに全国で初めて挑戦した。特殊な形状の魚道隔壁を型枠なしでつくることで型枠の組み立て・解体といった工程を省き、従来工法と比較して約2カ月の工期短縮を実現した。
 砂子組は、ダム管理に支障となる旧トラス橋の撤去工事に、ジャッキを使った引き込み解体工法を採用した。当初案(送り出し架設)に比べて55日の工期短縮を図ると同時に、安全管理を充実させたことで手戻りなく施工することができた。
 表彰式で、「私も建築の技術屋だった」と切り出した今井会長は「新しい技術を駆使して現場の進め方を変えていく。これは、ものすごくわくわくすること。今年の発表事例は例年に増してレベルが高く、甲乙つけがたい内容だった。このような良い事例をみんなで共有していくことが非常に大事であり、この機会にコミュニケーションを取り、横のつながりをつくってもらいたい」と締めくくった。
 優秀賞は次のとおり(カッコ内は会社名、発表者・敬称略)。
 〈高度技術部門〉
 ▽不安全行動を検出するAIシステムの活用(飛島建設、吉川清峰)▽まさか現場で運搬ドローン-新技術による省力化のエッジにチャレンジ(北沢建設、中島祐希)▽BIM活用による複雑な形状の建物の施工(奥村組、橋本将也)▽日本最大級深度立坑におけるニューマチックケーソンの建設(戸田建設、小澤大樹)▽3D計測による既存形状復元の事例(島村工業、鹿谷和洋)。
 〈創意工夫部門〉
 ▽線路直上にある老朽化した道路橋の撤去計画(大鉄工業、出野幸一)▽循環排水再利用型浄化槽を利用したサーキュラーエコノミーの実現(鴻池組、鴫原涼介)▽デジタル化システム導入による施工機械の点検業務効率化の取り組み(五洋建設、秀嶋雄輝)▽橋桁端部における劣化対策(仙建工業、鳴海紀彦)。