遠隔・自律建機の安全規制議論/専門家検討会が初会合/厚労省 | 建設通信新聞Digital

11月27日 木曜日

行政

遠隔・自律建機の安全規制議論/専門家検討会が初会合/厚労省

 厚生労働省は、建機の遠隔・自律運転に必要な労働災害防止措置の検討に着手した。無人化技術の開発や実用化が進む一方、労働安全衛生法令上の安全義務などが明確ではないことから、まずは建機のユーザーやメーカーを対象に無人運転機械を適用する作業内容などを聞き取る。2026年6月にまとめる中間取りまとめで、無人運転に必要な安全義務や技能要件を定めるための考え方を示す。
 26日に「機械の無人運転における安全確保等に関する専門家検討会」(座長・齋藤剛労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所新技術安全研究グループ部長)の初会合を開いた=写真。国土交通、農林水産、林野の3省庁がオブザーバーで参加する。
 建機の遠隔施工や自律施工の開発・実装が進む中、現状の安全規制は無人運転機械による作業を想定していない。6月に閣議決定した規制改革実施計画では、遠隔・自律運転を行う場合の労災防止対策を議論する検討会の設置を明記。建機の使用が想定される作業ごとに必要な安全義務、免許・技能講習の要件など検討すべき項目を整理するとしていた。
 無人運転機械に求められる安全義務は、対象の機械が遠隔運転か自律運転か、作業区画が有人か無人かによって内容や水準が異なることが想定される。例えば、遠隔化は通信の支障が労災リスクにつながるため通信安全対策の要求水準が高くなる一方、自律化は人との接近を回避する高度な自動安全停止機能が求められる。
 そのため、「運転制御方式」と「周辺環境」の2軸で想定する各ケースで必要な労災防止措置を考える。検討に当たっては、車両系建設機械、車両系荷役運搬機械などのユーザーやメーカーを対象としたヒアリングを通じ、無人運転が適用される作業や制御方法、技術水準などを把握していく。
 また、最低限必要な安全対策を備える機械とその運用に向けた安全機能の基準や適合性評価、サプライチェーンの構築なども視野に議論を深める。
 中間取りまとめ以降は、安衛法令に無人運転を行う場合の安全義務や技能要件を明記するなどの具体的な措置を検討していく。