遠隔・自律運転安全規制を検討/6月末までに基本的考えまとめ/厚労省 | 建設通信新聞Digital

11月21日 金曜日

行政

遠隔・自律運転安全規制を検討/6月末までに基本的考えまとめ/厚労省

無人運転での安全規制検討イメージ。規制改革推進会議作業部会での厚生労働省資料から
【11月26日に検討会初会合】
 厚生労働省が建設機械などの遠隔運転や自律運転での労働災害防止に必要な内容について、本格的な検討を始めることが分かった。学識者を中心とした専門家検討会を設け、26日に初会合を開く。油圧ショベルなどの建機や建設現場で使うタワークレーンといったクレーン、フォークリフトをはじめとした荷役機械、林業機械などを対象とし、機械使用を想定する具体的な作業ごとに、作業内容や機械周辺の作業者の状況を含む周辺環境、使用する機械の運転制御方式とその技術水準の実態を把握、確認する。その上で、作業ごとに必要な労災防止措置、技能水準などを決めるための基本的な考え方を2026年6月末までに整理する。 =関連2面 設置したのは「機械の無人運転における安全確保等に関する専門家検討会」。学識者ら15人で構成する。国土交通、農林水産、林野の3省庁がオブザーバーで参加する。
 検討会の設置は、6月に閣議決定した規制改革実施計画に盛り込まれていた。同計画の内容は規制緩和が中心。ただ、デジタルやAI(人工知能)技術を使ったさまざまな機械の遠隔運転や自律運転など無人運転の開発、一部での社会実装が進展する中、労災を防ぐための安全規制が、無人運転機械を使った作業を想定していないのが現状だ。このため、機械周辺での作業者の危険防止、適切な運転操作実施などの観点から、労災を防ぐ安全規制を設ける。
 労災防止に向け検討が必要だと想定されるのは、作業場所での立ち入り禁止や誘導員の配置、自動接触検知や停止機能など他の機械との衝突防止や周辺作業者への接触防止、通信エラーやセキュリティー対策といった運転操作性確保、停止時やトラブル時の安全確保、遠隔や自律運転に必要な技能の確保などの対策。
 また、遠隔運転や自律運転といった運転制御方式、無人区画での作業や人と機械が混在の下での作業といった周辺環境に応じ、最低限必要な労災防止の内容や水準が大きく異なるため、「運転制御方式×周辺環境」の各ケースでの対策内容や対策水準の検討も必要になる。
 最終的には建機など機械の運転制御方式と周辺環境の区分に応じて、最低限必要な労災防止措置を決める。この安全規制の決定に向け、個別規制検討の前に、運転制御方式、周辺環境の機械別現状や将来ニーズを把握し、具体的規制検討に当たっての論点を整理する。
 検討会では安全規制に必要な「安全義務」と機械の免許・技能講習要件の「技能要件」、機械の技術水準など、安全規制づくりで検討すべき内容を26年6月末までに中間報告として整理する。同年7月以降には、中間報告を踏まえ、労働安全衛生法・関係法令に無人運転を行う場合の安全義務や技能要件を明記するなど、具体的に安全を求めるレベル(規制、安全対策の内容)を議論し、安衛法関係法令改正に向けた最終報告をまとめる。ただ、結論を得る時期は決まっていない。
 検討会は月1回のペースで開く見込み。2回目の会合からは機械のユーザーやメーカーの関係業界からの聞き取りを実施する。