優先順位つけ重点化を/金子国交相に3次提言/道路陥没対策有識者委 | 建設通信新聞Digital

12月3日 水曜日

行政

優先順位つけ重点化を/金子国交相に3次提言/道路陥没対策有識者委

提言書を交わす家田委員長(左から2人目)と金子国交相(左端)
 国土交通省の有識者委員会は1日、埼玉県八潮市の道路陥没事故を受けて、下水道管路マネジメントの具体的な方針やインフラ全般のマネジメントの方向性を示す第3次提言をまとめ、金子恭之国交相に提出した。委員長を務める家田仁政策研究大学院大特別教授は「膨大なインフラを今までどおり管理することは非効率だ。重要な箇所に力をそそぎ、そうでない箇所は手法を変えるなど、メリハリをつけることが一番重要だ」と述べ、優先順位を付けたインフラマネジメントへの戦略的転換を求めた。 「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」がまとめた提言では、下水道管路の点検や調査、診断、再構築に関し、メリハリと見える化を重点的に図るよう求めた。損傷リスクが大きい箇所や、事故が起きた際の社会的影響が大きい箇所に対する点検・調査は頻度を明確にし、複数の手法を組み合わせる。一方、リスクや社会的影響が小さい箇所にはスクリーニング調査や時間計画保全、事後保全などを適用する。
 診断では、管理者などが必要な対策を適時に確実に判断できるよう基準の明確化を要請した。一般市民に対しては、事業負担や事業のメリハリの必要性について理解を得られる環境を整えることを提案した。
 再構築は、事故時に社会的影響が大きい箇所に対して二条化などを進めることによって、維持管理が容易で冗長性がある施設とする考えを提示した。
 インフラ全般のマネジメントについても、メリハリや見える化を徹底するとともに、メンテナンス産業の就業環境改善に向け表彰制度や待遇改善に取り組むよう求めた。マネジメント自体は点検・調査だけでなく計画から改築までの流れを含めて一体的に行うことを要請した。管理者と利用者が一体となって取り組みが進むような機運醸成の必要性も強調した。
 提言を受けた金子国交相は「法令を含む諸制度の見直し、検討を加速するとともに、必要な予算をしっかりと確保していく」と述べ、強靱で持続可能な上下水道の構築と新たなインフラマネジメントの具現化への決意を示した。