新社長・メルコビルエンジニアリング 高野 則弘氏 | 建設通信新聞Digital

12月17日 水曜日

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新社長・メルコビルエンジニアリング 高野 則弘氏

【3事業バランス良く推進】

 三菱電機ビルソリューションズの子会社である菱電エレベータ施設とトーコービルシステムが合併して10月1日に誕生したメルコビルエンジニアリング。そのかじ取りを担う高野則弘社長は「組織風土の醸成に取り組むとともに、リニューアル事業や新規事業であるソリューション事業に力を入れる」と意気込む。経営方針や今後の展開について聞いた。  --抱負を
 「リニューアル、人材育成、ソリューションの3事業をバランス良く進め、既存と新規の『両利きの経営』をしていく。そのためには社内でのコミュニケーションも活性化し、先輩が後輩に寄り添う風土を醸成させたい。寄り添うとは、困っているときに声を掛けることだ。先輩から後輩に声を掛ければ後輩からも話をしやすくなる。そこから新たな事業提案にもつながっていくのではないか。声掛けをすることで安全衛生、品質向上、コンプライアンスの面でも大きな問題は起きなくなる。現場での重篤災害の抑制にもつながる」
  --注力分野について
 「人口減少下で(新規の)エレベーター事業は厳しい状況にある。需要が安定しているリニューアル需要への対応が成長の鍵になる。三菱電機グループ内での役割分担となっている油圧エレベーターに特化して対応していく」
 「営業や設計、据え付けまで一気通貫して対応するリニューアル直販にも注力する。旧菱電エレベータ施設が約5年前から首都圏で取り組んできたが、それを他地域でも展開していきたい。ノウハウも蓄積され、収益面でもようやく実を結びつつある。他地域での展開により黒字化していく」
 「新事業では、人手不足、省力化、省人化に役立つような事業を展開していきたい」
  --重点課題は
 「人材の定着率が課題だ。離職の抑制に力を入れたい。転職市場の活性化などを背景に離職率が高くなっている。社内でのコミュニケーションや研修を強化していく。合併前の会社で『習うより慣れろ』という現場で覚える体制が残っていた。若手社員にヒアリングをすると、もっと事前に勉強してから現場に出たいという声もあり、研修期間を長くしている」
 「新設とリニューアルでノウハウは違う。設計や工事で分け隔てなく柔軟に対応できる人材を育成していく。ベトナムの職人も毎年10人程度入社していて現場で働いており、大変意欲がある。継続的に採用し、着実に人を増やしていきたい。技能者不足のため、できるだけ工場で対応して現場での省力化、省人化の取り組みを進めている。三菱電機ビルソリューションズと連携して新たな工法も検討していく」
  --採用について
 「新卒採用では地道な活動をしている。各事業所の地元工業高校などに支店長やOBが説明に行き、当社の知名度や優先度を上げるような工夫をしている」

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 (たかの・のりひろ)1991年3月立教大法学部卒後、同年4月三菱電機入社。2021年4月関越支社長、24年4月三菱電機ビルソリューションズ横浜支社長などを経て、25年10月から現職。埼玉県出身。67年8月1日生まれ、58歳。

【記者の目】
 一貫してビルシステム事業に携わってきた。勤務地も初任地の東北支社を皮切りに東京、中部、中国地方など「本州を行ったり来たりしてきた」と話す。営業とスタッフの両部門を経験することで「広い視野」を得たという。新会社の概要はスライドソフトで自ら説明。取材に応じる姿勢やその話しぶりには実直さがにじむ。視野の広さと実直さで新会社のかじ取りを担う。